四季折々の景色が楽しめて、歴史の勉強ができて、広大な敷地で運動もできる!お祭りやイベントもやっている奈良市民の憩いの場と言えば!そう、平城宮跡です。
我が家も日頃から子どもを連れてよく訪れています。自転車の練習をしたり、走り回ったり、とにかく広いのでウォーキングにも最適です。
今回は平城宮跡へサイクリングに出かけてみました。

平城宮跡は、和銅3年(710)に藤原京(奈良県橿原市)から遷都された奈良の都・平城京の中枢部の遺跡です。当時の平城京は、南北約5km、東西約6kmの広さで、都の中央北端に、政治の中心となる平城宮が作られました。平城宮は約1km四方の広さで、天皇の住まいである内裏、国家的儀式が行われた大極殿、国の役所などが立ち並んでいました。
現在は、国の特別史跡「平城宮跡歴史公園」として保存され、世界遺産にも登録されています。平城宮の中心建造物である「第一次大極殿」や、正門の「朱雀門」、日本庭園のルーツといわれる「東院庭園」などが復元され、平城宮跡の歴史を学べる資料館や展示館も整備されています。
第一次大極殿

奈良時代前半の国家の中枢である第一次大極殿は、宮殿の中でも最も重要な建物です。即位の儀式や元旦の朝賀など国家儀式の際に天皇が出御する場所です。平城遷都1300年祭が行われた平成22年(2010)に復元されました。間口44m、奥行20m、高さ27mで平城宮跡の中でも最大の建物です。内部は見学が可能です。

内部の四周に巡る小壁には、上村淳之画伯による四神と十二支の彩色が施されています。朱雀(すざく)の絵も美しいです。

国家儀式の際、天皇はこの高御座に着座し、貴族は内庭より大極殿の天皇の姿を拝しました。
最近は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため自粛中のイベントも多いですが、内庭広場は、平城京天平祭や野外コンサートなど様々なイベントに活用されています。


軒下の四隅には風鐸(ふうたく)が取り付けられています。風の強い日には、カランカランと辺りによく鳴り響きます。この音が聞こえるところは聖域で悪いことが起こらないという言い伝えがあります。
復元工事中の第一次大極殿院南門

現在、第一次大極殿院南門が復元工事中です。南門は、第一次大極殿院の正門で、儀式の際には、天皇が出御することもありました。入母屋造り二重門で、間口約22.1m、奥行約8.8m、高さ約20mと朱雀門よりやや小さな礎石立ちの建物です。工事は2018年11月に始まり、2022年春に完成予定で、これまで度々現場見学会が開催されてきました。

普段なかなか目にする機会のない貴重な組み立て工程を間近に見学できるとあって、見学会に参加した時は子どもたちも興味深々でした。宮大工による伝統技術を活用し、槍鉋(やりがんな)や手斧(ておの)などの工具を使い、木材を加工しています。2021年9月頃には、総重量665トンある素屋根が東へと移動され、建物全体が現れる予定です。伝統の技と現代の最新技術の結晶ともいえる南門の完成がとても楽しみです。

現場の隣には復元事業情報館があるのでちょっと休憩。こちらでは、工事の概要や伝統技術などを展示しています。シアターコーナーの映像では、復元事業に携わっておられる各分野のプロフェッショナルの方々のお仕事がわかり、とても興味深かったです。
朱雀門ひろば
第一次大極殿院からまっすぐ南方にあるのが朱雀門です。朱雀門ひろばは、平城宮跡の正面玄関である朱雀門の南側一帯を整備し、2018年にオープンしました。こちらの朱雀門ひろばもお祭りやイベントに活用されています。


朱雀門ひろばには、展示施設の「平城いざない館」、レストランやカフェが入る「天平うまし館」、おみやげ店などが入る「天平みつき館」、平城京VRシアターや展望デッキがある「天平みはらし館」などの多彩な施設が集まっています。

朱雀門は、平城京のメインストリート、朱雀大路の北端に建てられた平城宮の正門です。奈良時代には、外国使節の送迎や、歌垣などの儀式が行われていました。門の奥には復元中の第一次大極殿院南門が見えます。


天平みはらし館では、レンタサイクルの貸出もしています。ロッカー完備の更衣室やシャワー室もあり、ジョギングの際にも便利です。

天平みはらし館の展望デッキから東の方向に若草山が見えました。うっすらと三角の屋根が!東大寺の大屋根です。

平城宮いざない館は平城宮跡歴史公園の見どころの展示や、奈良時代の出土品や資料公開を行っています。子どもたちにも分かりやすく楽しめるような工夫がされていて、奈良の小学生は、地元の歴史学習の一環で学校から訪れる定番スポットになっています。

天平うまし館には遣唐使船の解説コーナーがあり、復元遣唐使船に乗船し、甲板に上がることもできます。全長30mの大きな船ですが、これで当時中国(唐)まで渡ったのかと思うと、相当過酷な航海だったと思われます。
東院庭園
朱雀門ひろばをあとにして、自転車で北東方向へ。東院庭園は、平城宮の東に張り出した部分で発掘された池泉回遊式庭園で、日本庭園のルーツといわれている庭園です。東西80m、南北100mの敷地の中央に複雑な形の池があり、その周囲にはいくつかの建物があったことが確認されており、現在復元されています。

中央建物は池の西岸中央にある東院庭園の正殿で、宴会や儀式の際に中心となった場所と推定されています。

隅楼の屋根の上には金色の鳳凰像が輝いています。これは出土した鳳凰文鬼瓦がモデルとなっています。
ここに来ると、いつもほとんど人がおらず貸し切り状態になることも多いです。曲水を流れる水の音を聴きながら、穏やかな時間が流れます。
一歩外に出ると、この周辺ではよく楽器の練習をしている人を見かけます。トランペットやフルートに様々な音色を耳にします。この時は笛に太鼓の祭囃子が!夏祭りの練習でしょうか。
※今回ご紹介している展示施設や庭園、平城宮跡のイベントについては、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、中止や変更が生じている場合があります。利用案内、休館日等についても、詳しくは「なら旅ネット<奈良県観光公式サイト>」をご参照ください。
なら旅ネット<奈良県観光公式サイト>:https://yamatoji.nara-kankou.or.jp/03history/01historic_sites/01north_area/heijokyuseki/
アクセス
近鉄大和西大寺駅から東へ徒歩約20分
近鉄・JR奈良駅から奈良交通バスで「佐紀町・大極殿」または「平城宮跡」、「朱雀門ひろば前」下車
まとめ

今回ご紹介した他にも平城宮跡には、「平城宮跡資料館」や「遺構展示館」、「第二次大極殿跡」などの見どころもあり、とにかく広いのでサイクリングでまわるのもおススメです!
お正月には凧揚げをする多くの家族連れで賑わう平城宮跡。春は桜の花も見事です。今回ご紹介したスポットや資料館、展示館は全て入園・入館無料です!(イベントと共に変更の可能性あり)
また機会があれば、周辺の佐紀路の巨大古墳群にも足を延ばしてみたいと思いました。