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うっすらと雪をまとった奈良公園の名建築

2月に入り寒さの厳しい奈良ですが、市街地ではたまに雪が舞う程度で、積もることは珍しいです。先月、3年ぶりに4cmの積雪があったので、奈良公園のお散歩に出かけてみました。普段見慣れた景色も、いつもと違う装いを見せてくれました。

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春日野園地へ

雪の春日野園地

雪が止んだのを見計らって、まずは奈良公園の中心部、春日野園地へ。

春日野園地は、普段は大規模な芝生が広がるのどかな広場なのですが、この日は一変。雪が積もって真っ白な世界が広がっていました。ふわふわの雪の上を歩くのがうれしくて、カメラを構えながらサクサクっと歩きます。鹿さんたちも雪の感触を楽しんでいる?かのようでした。

春日野園地から見える東大寺本殿の大屋根

春日野園地は大規模芝生広場なので、遠足のお弁当休憩には持ってこいの場所です。春には遠足に訪れる多くの学校が集結し、大勢の子どもたちがここでお弁当を食べます。しかし、ここでの食事はカラスと鹿に要注意。油断していると丸ごと持って行かれます。

また春日野園地では音楽野外フェスやイベントもよく行われます。鹿たちと一緒にフェスを楽しめるなんてここだけではないでしょうか。しかし、現在各種イベントは、新型コロナウイルス感染予防のため自粛されています。あの賑やかで楽しい野外イベントの開催が待ち遠しいです。

岩に体をこすりつける鹿さんたち

てくてく雪の上を進んで行くと、謎の光景を発見!

この岩には鹿さんたちの身を清める何かがあるのか?鹿を引き寄せる何かが⁉

毛づくろいの一種なのでしょうか?鹿さんたちが必死に体をこすりつけています。このあとにも何頭かが入れ替わり同じように体をこすりつけていました。

浮見堂へ

春日野園地から南西に向かって歩いて行くと、鷺池に浮かぶ浮見堂が見えてきます。

檜皮葺き(ひわだぶき)、八角堂形式(六角形)の屋根が特徴的なお堂です。この辺りは季節を問わず、年中人気の撮影スポットで、時々、結婚式の記念撮影の方もお見かけします。

凍る鷺池と浮見堂

この日は、雪をかぶった浮見堂と凍り付く鷺池が見れました。気候のよい春から秋にかけては、貸しボートに乗ることもできます。

奥に見える建物が奈良ホテル

鷺池周辺を歩いていると、池の西側の木々の隙間から奈良ホテルが見えました。

奈良ホテルは関西屈指の名門ホテルです。明治42年(1909年)創業以来各国のロイヤルファミリーなど数多くのVIPが利用しています。

東京駅や日本銀行本店などを手がけた辰野金吾の設計で、桃山御殿風檜造りの格調高いクラッシックホテルで、和洋折衷の内観も見どころです。あのアインシュタインやヘレンケラーも宿泊されたそうで、館内にはアインシュタインが弾いたというピアノも含め、横山大観など著名な日本画家の作品が数多く飾られています。

仏教美術資料研究センター

奈良ホテルを遠望できたところで、ふと行ってみたくなったところがこちら、奈良国立博物館管轄の「仏教美術資料研究センターです。浮見堂から北へ徒歩5分ほどのところにあります。

仏教美術資料研究センター

こちらの建物は、明治35年(1902年)関野貞によって、当初は奈良県物産陳列所として建てられました。木造桟瓦葺(さんがわらぶき)で、西洋建築の構造技術や意匠も取り入れつつ、外観は和風を基調としています。

建物東側(東の翼部)

中心部のエントランス、関野ホールを持つ中央楼から、東西に翼部が延び、建物全体が左右対称の姿になっています。宇治の平等院鳳凰堂を模したと言われています。

この建物は開館後、奈良県商品陳列所、奈良県商工館と名称を変え、その後、奈良国立文化財研究所春日野庁舎として利用されました。現在は、奈良国立博物館管轄の仏教美術資料研究センターとして利用されています。

イスラム風の円形飾り窓

なぜ奈良ホテルから仏教美術資料研究センターを連想する?

こちらの建物を設計した関野貞は、奈良ホテルの設計者・辰野金吾のもとで東京の日本銀行本店工事に参加していました。その後、関野貞は奈良に赴任し、古社寺の研究・修理・保存に携わり、建築細部の様式から成立年代を判定する建築史、美術史研究の基礎を確立していきました。

辰野金吾のもとで体得したものが、こちらにも活かされているのではと想像してみるとおもしろいです。

西洋建築の模倣にとどまらず、ジャンルにとらわれない日本独自の建築を確立していった辰野金吾。こちらの仏教美術資料研究センターの建築にも、西洋・イスラムといった海外の様式を取り入れつつ日本独自の建築に昇華していくというスタイルが息づいているように感じました。

仏教美術に関連する図書や調査研究資料の公開は、現在は休止中です。8月から事前予約により段階的に利用が再開されるそうです。

奈良国立博物館なら仏像館

この近代建築つながりで、またまた寄り道したくなったのが、こちら「奈良国立博物館なら仏像館」です。

奈良国立博物館なら仏像館

奈良国立博物館なら仏像館は、奈良で最初の本格的洋風建築として明治27年(1894年)に完成しました。

赤坂離宮(現・迎賓館)や東京国立博物館などを手がけた片山東熊の設計です。片山東熊は工部大学校(現・東京大学)で建築を学び、イギリス人教授の建築家ジョサイア・コンドルの4人の弟子たちの内の1人でした。先に紹介した辰野金吾もその4人のお弟子さんのうちの1人です。片山東熊と辰野金吾は同期だったそうです。

日本を代表する明治の建築を形作った近代建築家たちが、ここ奈良公園でつながっているという不思議。雪解け道を散歩しながら、その巡りあわせに興味がそそられました。

南隣には青銅器館があり、ガラス張りの通路でつながっています

なら仏像館は、煉瓦造りで小屋組みは木造。外壁は石貼りの平屋建てです。ネオルネサンス様式の重厚な外観に、柱や破風、壁面などにはネオゴシック的な特有の装飾があり、正面上部には美しい彫刻が施されています。現在の一般入口は建物反対側(東側)にあります。

館内には飛鳥時代から鎌倉時代にいたる日本の仏像を中心に、国宝、重要文化財を含む常時100体近くの仏像を展示。国内の博物館では、最も充実した仏像の展示施設です。

奈良公園へのアクセス

近鉄奈良駅から徒歩約5分です。と、よく言われますが、奈良公園は総面積約511.33haと広大です。行く場所によって時間も大きく異なります。

春日野園地へは近鉄奈良駅から徒歩約20分ほどです。

バス利用の場合は、近鉄・JR奈良駅より奈良交通バスで「春日大社本殿」行き「奈良春日野国際フォーラム甍前」下車又は、「市内循環(外回り)」バス「東大寺大仏殿・春日大社前」下車すぐです。

まとめ

雪を見に出かけたお散歩が、途中、奈良ホテルを垣間見たところから、奈良公園近代建築めぐりになっていました。同じ時代を生きた建築家同志のつながりから名建築をたどるというのもおもしろいです。また別のスポットでも、あるキーワードでたどってみる「つながりさんぽ」をご紹介したいと思います。

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