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秋の彩りに誘われ「奈良奥山ドライブウェイ」へ【奈良・若草山~春日山~高円山】

秋、奈良盆地を囲む山々はさまざまな色合いに染まります。紅葉のダイナミックな景色が楽しめる「奈良奥山ドライブウェイ」。奈良市街に近いながらも、秋色にいち早く染まる山々と出会えます。今回は、色づき始めた自然豊かな山々をドライブしながら、途中車を停めてのハイキングや絶景スポットが楽しめる「奈良奥山ドライブウェイ」をご紹介します。

鹿たちにも出会えます

奈良奥山ドライブウェイは、若草山・春日山・高円山を結ぶ約12kmの有料自動車道です。正倉院北側の出入口から若草山山頂までを往復する「新若草山コース」と、高円山の麓から春日山石窟仏付近の芳山交番所までを往復する「高円山コース」、途中、春日山原始林を通り抜け全コースを走行する「奈良奥山コース」の3つのコースがあります。

気軽に立ち寄るなら新若草山コースがおすすめです。春は桜、秋は紅葉が美しく、若草山山頂は夕日や夜景も楽しめるビュースポットです。新日本三大夜景に指定されています。

今回は、ハイキングも兼ねて全コースを制覇!奈良奥山コースに挑戦です。

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新若草山コースからはじまるドライブ

正倉院北側の塀沿いを車で走行すると、入口ゲートが見えてきます。ここから奈良奥山ドライブウェイに入ります。

このゲートをくぐり料金所へ
コースにより料金が異なります。

つづら折りの山道の新若草山コースを通り、まずは若草山山頂までドライブです。ここにはナンキンハゼがたくさん自生しています。毎年真っ先に色づくナンキンハゼの赤から、奈良の紅葉がはじまります。

大仏殿ビューポイント。奥に興福寺五重塔

料金所から約500mほど進んだ辺りに、大仏殿ビューポイントがあります。見落としがちな場所ですが、絶好の撮影スポットです。春には一面桜色に染まり一味違った風景が楽しめます。

若草山山頂近くの駐車場に車を停めて、歩いてすぐの山頂へ。

昼間、若草山山頂にはたくさんの鹿がいます

若草山は標高342m、笠を三つ重ねたような姿で三笠山とも呼ばれています。(御蓋山と表記されることも) ちなみに奈良では「みかさ」=「どらやき」です。三笠山にちなんで、「みかさ」とネーミングされたどら焼きが奈良ではたくさん売られています。

若草山山頂からの眺め

若草山山頂からは色づいた木々の向こうに、市街地の景色が広がります。遠くに生駒山や金剛山の山々も見渡せます。赤と緑のツートンカラーが美しいです。

鶯塚古墳

若草山山頂には「鶯塚(うぐいすづか)古墳」という5世紀ごろ築かれた全長103mの前方後円墳があります。清少納言の枕草子に記された「うぐいすの陵」であると言われています。

絶景スポットにある古墳

春日山原始林に会いに、奈良奥山コースへ

ここから先は、一方通行の奈良奥山コースに入ります。若草山山頂の明るく開けた景色とは一変。鬱蒼とした木々の中、薄暗い林道を進みます。奈良奥山コースのみ歩行者の通行が可能で、車だけでなくハイカーたちも行き交います。

ハイカーやトレイルランニングの方たちとすれ違います

舗装されたアスファルトの道路から未舗装の砂利道へと変わっていきます。世界遺産「春日山原始林」の真っただ中に入って行きます

花山の背地蔵

道の脇に、石仏を祀る「花山の背地蔵」がありました。細長い珍しいデザインの石塔があります。

春日奥山最大の山桜

この山桜が花開く春を想像し、今度は車に頼らずハイキングで来たいと思いました。歩いて春日山に行くには、いくつかハイキングコースがあります。若草山入山ゲートから登って行くルートや、「春日山遊歩道」を通るルート、「滝坂の道」を通るルートがあります。

「滝坂の道」は、剣豪の里柳生と奈良の町を往来するために江戸時代に開かれたルートです。柳生街道の前半にあたる道で、現代では柳生まで歩いて行くのは相当ハードなトレッキングだと思ってしまいますが、当時は柳生への近道として柳生の剣を求める武士たちが行き交ったそうです。

剣豪の里で伝説の一刀石に出会う【奈良・柳生の里】

春日山ハイキングコースはこちら、奈良県公式サイト:http://www.pref.nara.jp/29460.htm

「すぐ 鶯の滝」と刻まれた石

「鶯の滝」を目指して、ここから下って行きます…が、

ワイルドな道が続きます

しかし、途中で気付きました!数年前訪れた時はこんな道ではなかったと。確か石段下りたらすぐ滝だったような??? 間違ったルートではないですが、険しいコースを選んでしまったようです。子どもたちは、こっちの道の方がおもしろいらしく、滝までのアドベンチャーコースをどんどん進みます。

鶯の滝

無事、「鶯の滝」に到着です。大和川水系の支流で奈良市内を流れる一級河川「佐保川」の源流にあたる高さ10mほどの小さな滝です。前日が雨だったせいか、水量も多く滝の音が体中に響き渡ります。水しぶき、冷たくも優しい感触の水、爽やかな空気と緑、どれもが心地よく全身に染み渡ります。

そうそう、記憶にあった石段はこれでした

帰りは歩きやすい石段から駐車場へ。鶯の滝駐車場近くの石段を下り、滝へと向かうルートの方が断然歩きやすいです。余裕があれば、先ほどの石標からのアドベンチャーコースもありです。

「鶯の滝」の駐車場近くの紅葉

駐車場へ戻る途中、赤く染まった紅葉をみつけました。奈良公園の紅葉はまだ緑色だったので、赤く色付く紅葉に出会うのは今年初です。(2020年11月3日時点)

世界遺産標示碑

鶯の滝の駐車場から先に進むと「春日山原始林」の世界遺産標示碑がありました。春日大社の神山として古くから狩猟、伐採が禁じられ、人の手を極力加えることなくそのまま原生林が維持されています。

最後のルート、高円山コースへ

高円山コースは石仏の宝庫で、途中、車を停めて滝坂の道を辿ると、地獄谷石窟仏、春日山石窟仏、首切地蔵、朝日観音、夕日観音、寝仏と多くの石仏に出会えます。駐車エリアから50mほどのところにある春日山石窟仏に行ってみることにしました。

春日山石窟仏、東窟の西壁面
春日山石窟仏、東窟の東壁面
春日山石窟仏、西窟

春日山石窟仏は「穴仏」と呼ばれ、東大寺大仏殿を建てるために石材を掘り取った跡に彫られた石仏です。東西二窟に平安時代の石仏が全部で18体残っています。東窟は地蔵尊を中心としたもので、西窟は大日如来と阿弥陀如来を中心としたものです。石仏全体は金網と屋根で保護されているので、隙間から拝見。崩れ落ちている部分もありますが、穏やかな仏様のお顔が見て取れ、その表情に癒されます。

また、車で少し移動。地獄谷石窟仏付近の駐車エリアに車を停めて歩きます。

ドライブウェイを利用しながら、ハイキングも満喫です

こちらの道もなかなかワイルドなハイキングコースです。途中狭い所や、ぬかるみ、倒木をよけながら進みます。駐車エリアから600mほどのところに「地獄谷石窟仏」があります。

地獄谷石窟仏

「地獄谷石窟仏」は奈良時代に作られた石仏です。聖(ひじり)が住んでいたという説もあり、「聖人窟」とも呼ばれています。壁面には妙見菩薩坐像、十一面観音像、廬舎那仏、薬師如来が彫られています。わずかですがよく見ると彩色が残っています。屋外ですが石窟の奥なので、雨風から守られてきたのだと思います。こちらも周りにフェンスと屋根があるので、隙間から眺めます。

高円山頂上展望所より奈良市街の眺望

ドライブの最後は春日山原始林を抜けて高円山へ。高円山頂上展望所と大和三山展望所へ向かうルートです。高円山頂上展望所には、万葉学者・犬養孝先生揮毫の万葉歌碑や高円宮殿下お手植えの「柊」があります。

万葉歌碑

「高円の 秋野のうへの 朝霧に 妻呼ぶ牡鹿 出で立つらむか」(万葉集巻20 大伴家持) 万葉集には高円山の情景を詠んだ歌が多く収められています。万葉びとが歌を詠み過ごしていた時代に思いを馳せながら、広がる奈良の景色をしばらく眺めていました。いにしえの奈良の都はどんな風景だったのでしょうか。

大和三山展望所

最後に訪れたビュースポット、大和三山展望所です。橿原市にある天香久山、畝傍山、耳成山の三つの山を総称して「大和三山」と呼び、国の名勝に指定されています。葛城山系や二上山、斑鳩の里も見渡せます。光がさしてきて美しい眺めでした。

奈良奥山ドライブウェイ料金(中小型乗用車)・営業時間  ●新若草山コース¥530 (8:00~23:00 12/1~3/15は22:00) ●高円山コース¥640(8:00~18:30) ●奈良奥山コース¥1760(9:00~17:00)

詳しい情報はこちら、奈良奥山ドライブウェイ公式サイト:https://shinwaka.com/ ←こちらから割引チケットを印刷して持参すると、新若草山コースが¥460になります。スマートフォンの画面提示だけでは割引にならないのでご注意くださいね。

まとめ

奈良奥山ドライブウェイは自然あふれるパノラマビューが楽しめるだけではなく、神聖な山々の万葉ロマンが味わえるルートでした。今回まわり切れなかった柳生街道、滝坂の道には、まだ見ぬ石仏が数多くあります。また別の機会に、ハイキングでゆっくり訪れてみたいと思いました。秋だけではなく、四季折々のさまざまな美しい表情が見られる奈良奥山ドライブウェイ。魅力あふれる3コースをぜひ体感してみませんか?

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