奈良県には大自然の美しい緑を満喫できるスポットが多く存在します。中でも秘境と言われる「龍鎮渓谷」と「龍王ヶ渕」はその神秘的な光景から、多くのカメラマンを魅了し、SNSでもじわじわと人気が高まっています。

龍鎮渓谷と龍王ヶ渕は奈良県の北東部、宇陀市の室生山中にあります。奈良市街地から車で40~50分ほどのところにあります。
前回ご紹介した「室生寺」の続きで、どちらも午後から車で訪れ散策しました。室生寺から龍鎮渓谷まで車で約10分、そこから龍王ヶ渕も車で約10分ほどです。
コロナ禍での日々の疲れやストレスの癒しになりますようにと願って、大自然が織りなす豊かな緑をお届けします。
龍鎮渓谷へ
龍鎮渓谷は室生寺の北西にあり、室生湖に注ぐ深谷川上流に位置する渓谷です。車は近くに数台ほど駐車できるスペースがありますが、道路脇で狭いです。室生ダム管理事務所駐車場からハイキングを楽しむ方法もあります。
龍鎮橋のそばから龍鎮渓谷へと続く遊歩道を進みます。

山の中を歩くのは気持ちよく、空気もおいしいです。

景色を楽しみながら進むと、所々になぜかきれいに積まれた石を発見!絶妙なバランスです。

川のあちこちに大きな石がゴロゴロしています。

川の流れも耳に心地よいです。

川沿いに遊歩道をどんどん進むと、龍鎮神社の鳥居に到着です。

鳥居をくぐり参道から見下ろすと、大きな滝壺が現れました。透明度も高く、吸い込まれそうなぐらい深く濃い緑色です。

下まで階段を下りると、龍鎮神社の拝殿があり、深谷川を挟んだ対岸の岩場には本殿の祠があります。

龍鎮神社は雨乞いのために祀られたと伝えられています。川の流れに向かいあうように建つ本殿と拝殿。それにしてもすごい場所にあります。

その日の川の水量にもよると思いますが、拝殿から本殿へは渡れます。足を滑らせないように注意して渡ります。

滝壺の近くに行くと、深い緑と水の流れる音、肌に触れる風も匂いも心地よく五感に響きます。全身にマイナスイオンを浴びているような感覚です。

滝壺の色は天気や時間帯によって変わるらしく、お天気の良い、陽のあたる時には鮮やかなエメラルドグリーンが一面に広がるそうです。

滝壺から後ろを振り返って見た景色にも癒されます。上下左右360度の天球パノラマを実体験できる奇跡の絶景スポットです。

川の水が本当にきれいで、上から見下ろしても透明度の高さがわかります。
龍王ヶ渕
龍鎮渓谷から北西へ、再び車に乗って龍王ヶ渕へ向かいます。

5月上旬、この辺りの山道をドライブしていると、あちこちで野生の藤の花が見られます。枝ぶりもワイルドです。
室生の里山ののんびりとした田園風景を進むと、人里離れたひっそりとした山あいに龍王ヶ渕があります。近くには駐車スペースもあります。
龍王ヶ渕は大和富士とよばれる額井岳(ぬかいだけ)近くの標高530mの山中にある自然の凹地に水がたまった自然池です。

周辺は湿地帯になっていて池周辺には遊歩道があります。


龍王ヶ渕のそばまで来ると、堀越神社の祠があります。ここは、豊浦島太郎の乙姫のモデルになったと伝えられている豊玉姫命(とよたまひめのみこと)が祀られています。古来から水源の地として信仰されています。

堀越神社のそばには桟橋があり、龍王ヶ渕の景色を一望できます。

晴れた穏やかな日が絶景日和です。風がピタッと止むと、水面に周囲の木々が映り込む「水鏡」の風景が見られます。この神秘的な光景は宇陀の秘境として、ここ数年人気を集めつつあります。

逆さまにしても見間違いそうな映り込みに、不思議な感覚にとらわれます。


穏やかな美しい景色にうっとりです。

この辺りは湿原ということで、ミズバショウやザゼンソウの花も咲くそうです。

この時は花は見れませんでしたが、また訪れた際にはぜひ見てみたいと思います。


池周りの遊歩道をぐるりと散歩すると、見る方向から色んな景色が楽しめます。ここは海外かと錯覚しそうな風景です。
遊歩道は湿地帯のぬかるみでグチョグチョなところがあり、足元要注意です。お子さん連れの場合、長靴持参の方がよいかもしれません。
息子が「これ見て~!!」と大騒ぎしているので、近寄ってみると…
(両生類などの生き物が苦手な方は閲覧注意です。以下、すっ飛ばしましょう)


みんなみんな生きているんだ ♪ おたまじゃくしでした!
まとめ
「龍鎮渓谷」と「龍王ヶ渕」の「龍」の文字から、どちらも水を司る神様が宿る場所として、古来から大切にされてきたことがわかります。それぞれに美しい色合いの緑があり、神秘的な世界が広がる絶景スポットでした。
また機会があれば、龍王ヶ渕のほとりで、コーヒーを片手に優雅に読書しながら、ぼーっと贅沢な一日を過ごしてみたいなぁと思いました。
