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吉野の桜、秘境の奥千本へ【奈良県・吉野町】

世界遺産でもあり、日本屈指の桜の山として知られる吉野山。ひと目で千本の桜が見渡せるという意味から「吉野の千本桜」とよばれ、麓から下千本、中千本、上千本、奥千本と順に山頂へと咲き上がり、例年4月初旬から末にかけ長く桜の風景が楽しめます。今年(2021年)は例外的に見頃が早い年でした。

吉野山を覆う約3万本の桜は、古来桜のシロヤマザクラが中心で、開花とともに赤茶色の若葉が出るのが特徴です。街中のソメイヨシノの華やかさと違い、全体的に薄くやわらかな色合いで可憐な印象を受けます。

吉野山奥千本

吉野山の中でも、奥千本は山頂付近にある最も奥深く神秘的な地です。今回は奥千本を中心に、吉野山を下りながらおすすめスポットをご紹介します。金峯山寺蔵王堂(きんぷせんじざおうどう)の日本最大の秘仏ご本尊特別ご開帳も必見です!

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竹林院前から奥千本口へ

4月初旬たまたま車で吉野まで乗せてもらえる機会があり、子どもたちを連れて早朝の吉野を訪ねました。前回お正月に訪れた時、雪で断念した奥千本と、吉野の桜を夢見ての再訪です。

桜の時期の吉野は毎年多くの人で賑わい、交通規制が行われます。新型コロナウイルス感染症対策で密を避ける意味でも早朝が狙い目です。今年は開花が早く、4月初旬には上千本・奥千本も見頃に近づいていました。前日が雨で、雨上がりの吉野山は靄がたちこめていました。

上千本にある竹林院前バス停から吉野大峯ケーブルバスに乗って、奥千本口を目指します。

奥千本口バス停
吉野大峯ケーブルバス

上千本の狭い山道をバスでどんどん上がり、約13分で奥千本口バス停に到着です。

金峯神社

ケーブルバスを降り鳥居を抜け、靄に包まれた参道を進むと5分ほどで金峯(きんぷ)神社に着きました。山奥にひっそりと建っていて、清々しい空気が味わえます。

金峯神社

金峯神社は、吉野山の地主神、金山毘古命(かなやまひこのみこと)を祀る古社で、平安時代には藤原道真も参詣した社です。中世以降は修験道の修行の場となりました。

義経隠れ塔

金峯神社の左手の坂道を少し下ると、義経隠れ塔がありました。義経が兄・頼朝に追われた際に身を隠し、追っ手から逃れるため屋根を蹴破って外へ出たため「蹴抜けの塔」ともよばれています。

義経隠れ塔

ここは大峯修行道のひとつで、辺りには霊験あらたかな空気が漂っていました。

西行庵へ

金峯神社を後にして、ここから西行庵を目指し山道ハイキングです。

西行庵へ向かう遊歩道

靄に包まれた山の遊歩道はまるでアニメか映画に出てきそうな雰囲気でした。林道の坂道を上がるにつれ息が上がりますが、いい運動です!空気がひんやりしていて山中のマイナスイオンが気持ちよかったです。

靄の雲海と山桜

上りの後は下りの急階段。景色が開け桜の風景が見えてきました。足元に注意しながら小径を進みます。

西行庵

金峯神社からさらに奥へ20分ほど歩くと西行庵に到着です。西行庵は「新古今和歌集」の歌人、西行法師が俗世を離れ3年ほど隠棲したとされる草庵です。現在屋根は経年劣化による雨漏りで応急処置がされていました。

西行法師の像

展望台

朝靄と優しい光に照らされた山桜に癒されます。

展望台からの桜の景色

西行庵の向かい側には展望台があり、美しい桜の風景が広がります。桜を眺めしばし休憩です。誰もおらずとても静まりかえっていました。靄がかかった桜の景色は神秘的で、夢の中にいるようなおとぎ話の世界にいるような不思議な感覚でした。

ふと我に返ると、ここは山奥で標高も高くじっとしているとけっこう寒い…。再び歩いて体を温めます。

苔清水

西行庵の近くに岩間から流れ落ちる苔清水がありました。西行や松尾芭蕉が和歌や俳句に詠んだ苔清水では、現在も澄んだ湧き水が滴っています。

苔清水

四方正面堂跡・安禅寺蔵王堂跡(宝塔院跡)へ

山桜を眺めながらのハイキング

苔清水から先へ、さらに急な砂利道を登ります。深い谷間が見えて足がすくみますが、滑らないように注意しながら進みます。靄に包まれながらも遠くに広がる山並みと眼下に映る山桜が絶景でした

安禅寺蔵王堂跡(宝塔院跡)

途中、平坦なところが現れ四方正面堂跡と安禅寺蔵王堂跡(宝塔院跡)を通りました。この辺り一帯は宝塔院跡とよばれており、かつて四方正面堂や安禅寺蔵王堂(宝塔院)など大小の寺院が点在していたそうです。

ここから奥へ続く山道は、大峯山、熊野三山へと続く修験の道「大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)」と呼ばれ、今日でも修行が行われています。2004年には、吉野山を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に認定されています。

「一目千本」を目指して吉水神社へ

無事に奥千本口バス停に戻り、再び吉野大峯ケーブルバスに乗って竹林院前バス停で下車。中千本と下千本を散策しながら山を下ります。

みたらし団子で元気を補給!

この辺りには神社仏閣が多く点在しています。参道には食事処や吉野葛などの土産物店が軒を連ね、奥千本とは違い賑やかです。まだ朝の10時ですが、子どもたちの「お腹空いた!」の声でパワーチャージ。店先のおいしそうなお団子につい足が止まります。

吉水神社

中千本の途中、吉水神社に寄りました。ここはかつて吉水院という僧房でしたが、明治時代に後醍醐天皇らを祀る神社になりました。源義経や後醍醐天皇、豊臣秀吉とのつながりも深く、ゆかりの社宝が書院に見られます。

一目千本

境内の右手側に「一目千本」の展望所があります。吉水神社に盛大な花見の本陣を置いた豊臣秀吉も、ここからの桜の景色に魅了されたといいます。

一目千本からの眺め

中千本から上千本の桜を一望できるビュースポットです。シロヤマザクラの特徴の淡い優しいピンク色が広がっていました。

金峯山寺蔵王堂秘仏ご本尊特別ご開帳

吉水神社からさらに下り金峯山寺(きんぷせんじ)へ。金峯山寺は修験道の根本道場で、修験道の祖・役行者(えんのぎょうじゃ)が創建したと伝えられています。

役行者が修行中、蔵王権現のお姿を山桜の木に彫刻したことから、吉野山では山桜が御神木とされ桜の名所となりました。

金峯山寺蔵王堂

本堂の蔵王堂は東大寺大仏殿に次ぐ木造の大建築です。

今回、秘仏本尊の金剛蔵王大権現立像の特別ご開帳が行われていました。国宝仁王門大修理勧進のため毎年一定期間特別開帳されます。

金峯山寺パンフレットより

高さ7mにも及ぶご本尊の大きさにまず圧倒されました。そしてこの青く怖い形相。

7世紀末、修行中の役行者が衆生を救う仏の出現を祈った際に、最初に現れたのが釈迦如来、観音菩薩、弥勒菩薩の3体でした。役行者は優しい仏ではなく世に満ちた悪を打ち払うような強い仏を望んだため、岩を割って現れたのが金剛蔵王大権現だったと伝えられています。

権現とは権(仮り)に現われるという意味。ご本尊の3体は本来それぞれ柔和な仏ですが、蔵王権現は今の世にふさわしい魔をたたき割る怖い仮の姿になって現れたといいます。

3体はそれぞれ過去・現在・未来を表しており、遍く救ってくださる仏様です。権現立像の青色はラピスラズリで、深い慈悲を表しています。

金剛蔵王大権現立像に近づきお参りができるよう本堂には、心の内を打ち明け懺悔する「発露(ほつろ)の間」が設けられています。発露の間に入り、御本尊を下から見上げ拝んでいると、「頑張れ!」と渇を入れられているように感じ、身が引き締まる思いがしました。厳しい表情のお顔には深い慈悲が溢れていました。

特別ご開帳で頂いたミニ木札とエコバッグ

七曲り坂

帰路はロープウェーに乗るか迷いましたが、ここまで来ればあと少し!残りの景色も味わいたいと思い、近鉄吉野駅まで歩くことにしました。

下千本のくねくね坂道「七曲り坂」を下って行きます。ここからも桜の風景が楽しめます。美しいしだれ桜を堪能しながら駅へと歩きました。

吉野山へのアクセス

・近鉄電車「吉野駅」下車。ロープウェイ利用で吉野山駅まで上がれます。

・下千本駐車場(吉野山観光駐車場)は吉野山最大で約400台収容可能(桜と紅葉の時期のみ有料)※観桜期はマイカー入山規制あり

・観桜期の吉野大峯ケーブルバスは竹林院前から奧千本口のみの運行です。

詳しくは、奈良県吉野山観光協会公式サイトへ:http://www.yoshinoyama-sakura.jp/index.php

まとめ

奥の千本は、想像以上に山の奥深くにありひっそりとしていました。吉野山の中でも最も閑寂で神秘的な場所です。奥千本も含め山全体で美しい桜が毎年見られるのは、桜の保護・植樹・育成をされている方々や桜守の方々の努力があってこそです。

1300年ほど前から御神木として崇拝されてきた吉野の桜。近年、立ち枯れなどの被害が問題になっています。美しいだけではなく信仰と深く結びついた桜を後世に伝えていけるよう見守っていきたいと思いました。

山桜のやわらかで優しいピンク色に心癒された一日でした。

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