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『吉祥寺』は本駒込にあるのです。八百屋お七と吉三郎の比翼塚も【東京都・文京区】

吉祥寺というと、東京都の『住みたい街』に常にランクインしている武蔵野市の吉祥寺を思い浮かべますが、『吉祥寺』というお寺は武蔵野市ではなく、文京区の本駒込にあります。

浄瑠璃や歌舞伎で有名な「八百屋お七」とも縁のある、諏訪山吉祥寺を訪ねました。

本駒込付近にはお寺が多いのですが、その中でも、「諏訪山吉祥寺」はかなりの敷地面積を誇る大きなお寺です。

諏訪山吉祥寺(本駒込)

「吉祥寺」の由来は、江戸城を築城した太田道灌が井戸から「吉祥」の金印を発見したことによるそうです。創建当時の吉祥寺は、江戸城内にありました。その後、現在の水道橋付近に移されましたが、明暦の大火で類焼したため現地(駒込)に移転しました。

諏訪山吉祥寺の解説(文京区教育委員会)

諏訪山吉祥寺の入口は、本郷通り沿いにあります。

立派な山門には「栴檀林」という額がかかっていました。栴檀林(せんだんりん)は江戸時代の仏教の学問所で、現在の駒澤大学の前身になったところです。栴檀林は吉祥寺が駿河台にあった頃に開かれましたが、駒込に移ってからは七堂伽藍を構えるほど繁栄しました。

栴檀林の額(諏訪山吉祥寺・本駒込)

この山門は1802年に建てられたものですが、東京大空襲を免れて残ったそうです。見事な彫刻が施されています。

吉祥寺山門の彫刻

山門をくぐると、両側に緑の生い茂る道が長く続いていて、すぐには本堂が見えません。

諏訪山吉祥寺

そのまま進むと、左手に『八百屋お七と吉三郎の比翼塚』がありました。

お七と吉三郎の比翼塚

八百屋お七は、江戸時代前期に放火の罪で火あぶりにされたと言われています。実在の人物かどうかも含め諸説あるようですが、井原西鶴の『好色五人女』に書かれたことで有名になりました。

井原西鶴の『好色五人女』で、本郷の八百屋の娘お七は、火事で焼け出され縁の寺に身を寄せます。お七はそこで出会った寺小姓の吉三郎と恋仲になりますが、家に戻ってからは、両親の反対でなかなか会えません。再び火事になれば吉三郎に会えると思ったお七は、自分の家に火をつけます。ぼやで終わったものの、お七は火付けの罪で捕らえられ処刑されます。

松竹梅湯嶋掛額「八百屋お七」
(月岡芳年・パブリックドメイン)

実は、この井原西鶴版の物語で、お七が身を寄せたお寺が「駒込吉祥寺」ということになっています。

江戸の町は何度も大火災を起こしていますが、諏訪山吉祥寺が駿河台から駒込に移転したのも「明暦の大火」が原因ということで、影響の大きさがうかがわれます。

なお、武蔵野市にある吉祥寺は、火事で焼け出された諏訪山吉祥寺の門前住人たちが武蔵野に居を移したため、その一帯が吉祥寺という地名になったのだそうです。

比翼塚の隣には、六地蔵と釈迦如来坐像がありました。

諏訪山吉祥寺の六地蔵
釈迦如来坐像(諏訪山吉祥寺)

さらに進むと広場があり、正面に本堂が見えました。都心とは思えない空間が広がっています。本堂の左奥には都立駒込病院が見えます。

諏訪山吉祥寺の本堂

本堂の左手前には、観音像がありました。縁結びの御利益があるそうです。

諏訪山吉祥寺の観音像

広い敷地にはかつて七堂伽藍がありましたが、戦災で焼失したため、本堂や庫裏などは戦後再建されたものです。

諏訪山吉祥寺の庫裏

大きなセンダンの木が一本あって、ちょうど薄紫色の花が咲いていました。

センダンの木(諏訪山吉祥寺)
センダンの花(諏訪山吉祥寺)

山門のほかに古い堂塔で現存しているのは、経蔵のみです。経蔵は1804年に建てられたもので、文京区の文化財に指定されています。

諏訪山吉祥寺の経蔵についての解説(文京区教育委員会)
諏訪山吉祥寺の経蔵
経蔵(諏訪山吉祥寺)

吉祥寺の敷地内には墓地もあり、榎本武揚や二宮尊徳など著名人のお墓も数多くあるようです。あまりじっくり見て回ることはしませんでしたが、かなり立派な墓石もありました。

アクセス

『諏訪山吉祥寺』までは、東京メトロ南北線『本駒込駅』から徒歩5分ほどです。

周辺スポット

本駒込駅から歩いて行けるスポットには、吉祥寺のほかに目赤不動尊(南谷寺)があります。ツツジの季節なら根津神社まで、紫陽花の季節には白山神社まで足を延ばしてみるのもおすすめです。

五色不動のひとつ目赤不動尊を訪ねる【本駒込・南谷寺】 | ゆとりっぷ (u-trip.fun)

根津神社のつつじを見に行く【東京・文京区】 | ゆとりっぷ (u-trip.fun)

紫陽花を見に白山神社へ【東京都・文京区】 | ゆとりっぷ (u-trip.fun)

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まとめ

文京区本駒込にある「諏訪山吉祥寺」を訪ねました。江戸時代には駒澤大学の前身である栴檀林という仏教学問所として栄え、七堂伽藍を構える大寺院でした。ほとんどの建物は東京大空襲で焼失し、現存しているのは山門と経蔵のみとなっています。

八百屋お七の物語にも登場するなど歴史のあるお寺ですが、参拝客も少なくひっそりとしていて、静かに散策を楽しむことができました

今回は新緑の季節で、ちょうどセンダンの花が咲いていました。枝垂桜も有名なので、桜の季節にまた訪れてみたいと思います。

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