東京・丸の内といえば、『○○ビルヂング』という名前のついた、巨大なオフィスビルが立ち並ぶイメージです。
今回は、そんな丸の内のビルヂングの間にたたずむ、赤レンガのレトロ建築・三菱一号館美術館を訪ねました。もともとの設計は、明治のお雇い外国人ジョサイア・コンドルですが、1968年に一度解体されていて、現在の建物は2009年に復元されたレプリカです。
丸の内ということで、最寄りは東京駅です。

東京駅丸の内駅舎も赤レンガのレトロな造りですが、設計はジョサイア・コンドルから建築を学んだ辰野金吾です。辰野金吾は、日本近代建築の父とも言われている人で、他にも、日本銀行本店本館などを設計しています。
東京駅の丸の内駅舎は、2012年に当時の姿に復元されました。中でも、見所はドームの天井部分です。
クリーム色の天井に、鷲や干支のレリーフなどの装飾が圧巻です。これまで、あまりじっくり見たことがなかったのですが、次に来るときはオペラグラスを持参しようかなと思います。

さて、三菱一号館美術館へは、東京駅の丸の内南口を出て、徒歩5分程度で到着しました。
右手には、丸の内ブリックスクエアという商業ビルがあり、三菱一号館美術館との間が、ちょっとした広場になっています。

ややボケ気味の画像になってしまいましたが、さらにモヤモヤっとしているのは、緑のカーテンからミストが噴霧されているためです。
まさに、都心のオアシスと呼べそうな気持ちの良い空間が広がっていました。

芝生の広場には、彫刻なども置かれていて、散歩道のような風情になっていました。

薔薇の花が、背後のレトロ建築によく映えて、日本にいることを忘れそうです。

三菱一号館美術館では、毎年3回企画展示が催されているそうです。今回は、美術展は見に行かなかったので、建物内部は見ていませんが、石の階段や鉄骨階段、マントルピースなど、多くの見所があるそうです。

美術館の窓ガラスがいい雰囲気です。明治期に建築された三菱一号館には、ヨーロッパから輸入された手吹きガラスを使用していたのだそうです。平成の復元では、解体された旧・新丸ビルのガラス(初期の機械製法でやや歪みがある)を再利用したとのことです。

この他、赤レンガも、明治期の風合いを出すために、当時の製法に近い作り方で一つ一つプレス成形して作ったそうです。
レプリカではありますが、できる限り当時の様子を復元しようとした努力がうかがえます。
いったん表通りに出て、ぐるりと建物の反対側へ回ると、Café 1894の入口があります。

Café 1894は、明治期の銀行窓口を復元した内装になっています。ちなみに、1894というのは、三菱一号館が竣工した年(明治27年)です。
雑誌やTVドラマなどの撮影にもよく使用されているそうですので、見たことがある!という方もいるかもしれません。

入口を入ると、すぐ目の前に、ランプのついた「窓口」が並んでいます。「窓口」の向こう側がカフェ席になっています。内装は、当時の写真や図面、保存部材などから、できる限り忠実に再現されたそうです。

高い天井からは、シンプルなシャンデリアが下がっています。白い壁、重厚な柱、大きな窓など、明治時代にタイムスリップした気分になれました。


曲線を生かした繊細なデザインのランプも素敵です。

カフェメニューには、三菱一号館美術館の企画展にちなんだ「展覧会タイアップメニュー」などがあります。美術館で展示を見た後に立ち寄ると、より楽しめそうです。

カフェ・バーなので、デザート各種、コーヒー、紅茶のほか、カクテルなどアルコールのメニューも充実していて、デートにもおすすめです。

アクセス
三菱一号館美術館とCafé 1894は、東京駅丸の内南口から徒歩5分です。
まとめ
ジョサイア・コンドル設計のレプリカ建築、三菱一号館美術館と併設のCafé 1894を訪ねました。
レンガの製法や窓ガラスなど細部にまでこだわったレトロ建築は、レプリカとはいえ、文化財級の素晴らしさです。
Café 1894は、当時の銀行窓口を再現した内装がユニーク。丸の内を訪れる機会があれば、ぜひまた立ち寄ってみたいおしゃれなカフェ・バーでした!
フリーランスライター、都内在住2児の母。趣味は着物と和裁とお散歩。個人ブログで親子の着物ライフについて発信中(こども浴衣の作り方も公開中)。
ブログ:『着物好きが育てたら、着物好きの娘になったので…』