東京都には、都立の文化財庭園として9つの庭園があります。
- 浜離宮恩賜庭園(中央区)
- 旧芝離宮恩賜庭園(港区)
- 小石川後楽園(文京区)
- 六義園(文京区)
- 旧岩崎邸庭園(台東区)
- 向島百花園(墨田区)
- 清澄庭園(江東区)
- 旧古河庭園(北区)
- 殿ヶ谷戸庭園(国分寺市)
このうちの4つ(小石川後楽園、六義園、旧岩崎邸庭園、旧古河庭園)を、すでに当サイト上でご紹介しました。
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今回は、中央区にある『浜離宮恩賜庭園』を訪ねました。

浜離宮恩賜庭園は、江戸時代は将軍家の庭園でしたが、明治になると皇室の離宮となります。戦後、東京都に下賜されて現在に至ります。昭和27年に国の特別名勝及び特別史跡に指定されています。
そもそもは江戸城の「出城」ということもあり、周囲は汐留川、築地川、東京湾に取り囲まれています。今回は、大手門橋を渡って、大手門口から入りました(このほか、中の御門橋を渡って、中の御門口からも入れるようです)。


大手門を入るとすぐに、6代将軍の徳川家宣が庭園を大改修した際(およそ300年前)に植えられた『三百年の松』がありました。横に張り出した枝が見事です。


続いて、今回のお目当ての一つでもある「キバナコスモス」のお花畑を目指しました。
「キバナコスモス」は、一般的なコスモス(オオハルシャギク)とは同属別種にあたり、互いに交配できないそうです。一般的なコスモスは秋の花というイメージですが、キバナコスモスは6月頃から花をつけ始めて、真夏に見頃を迎えます。



お花畑のすぐ横は「内堀広場」です。この「内堀広場」と、中の御門近くの「野外卓広場」には、シートを広げることが許可されていて、ピクニックにもおすすめです。

浜離宮恩賜庭園は、将軍家の別邸だった当時は「浜御殿」と呼ばれ、鷹狩りや鴨猟などを楽しむ場だったようです。
現存する「鴨場」を見ることができました。「小覗」という小窓から様子を伺いながらアヒルをおびき寄せ、一緒についてくる鴨を鷹や網で捕ったそうです。


次に、「鷹狩り」の際の休憩所だった「御茶屋」を見に行きました。「鷹の御茶屋」、「松の御茶屋」、「燕の御茶屋」がありますが、それぞれ史料に基づいて平成22年~30年の間に復元されたものです。




庭園内には、いくつか展望スポットがあります。松の御茶屋近くにある「御亭山(おちんやま)」から、高層ビル群を背にした「潮入の池」を一望することができます。


潮入の池に架かる「お伝い橋」を渡って、「中島の御茶屋」を目指しました。「中島の御茶屋」は昭和58年に再建されたもので、中でお抹茶をいただくことができます。


中島の御茶屋では「お抹茶と練切りのセット」をいただけるのですが、今回、練切りは売り切れということで、かわいい「アマビエ」のお菓子と抹茶のセットでした。

中島の御茶屋を出ると、さらに「お伝い橋」が続きます。全長120メートルほどもあるそうです。

お伝い橋を渡ると、もう一つの展望スポット「富士見山」があります。富士見山からは、4つの御茶屋が見えました。潮入の池の水面には、ビル群が映って何とも言えない景色です。


さて、この「潮入の池」ですが、その名の通り、東京湾からの海水を引き入れています。江戸の庭園として残存している「海水の池」は、この「潮入の池」のみだそうです。池と言えば「鯉」というイメージですが、「潮入の池」には「ボラ」「セイゴ」「ハゼ」「ウナギ」などの海水魚が棲息しているそうです。

海を見てみたいと思い、東京湾沿いの遊歩道に出てみました。


東京湾沿いの歩道をさらに進むと、水上バスのりばがあります。本数はあまり多くありませんが、「浅草」、「両国」、「お台場海浜公園」、「葛西臨海公園」行きの水上バスが発着しています。
水上バスに乗る予定ではなかったのですが、ちょうど「浅草」行きの水上バスが到着していたので、チケットを買って乗り込み、浜離宮恩賜庭園を後にしました。
アクセス
<大手門口まで>
- 都営大江戸線「汐留」駅・「築地市場」駅、ゆりかもめ「汐留」駅から徒歩7分
- JR山手線・京浜東北線・東京メトロ銀座線・都営浅草線「新橋」駅から徒歩12分
<中の御門口まで>
- 都営大江戸線・ゆりかもめ「汐留」駅から徒歩5分
- JR山手線・京浜東北線「浜松町」駅から徒歩15分
まとめ
キバナコスモスの花畑を見に、浜離宮恩賜庭園を訪ねました。
浜離宮恩賜庭園は、東京都の文化財9庭園の一つで、国の特別名勝・特別史跡に指定されています。
広大な園内には、昭和から平成にかけて復元された4つの御茶屋のほか、都内に唯一現存する「海水池」である「潮入の池」など、見所がたくさんありました。
シートを敷くことが許可されている広場もあるので、ピクニックにもおすすめです!
フリーランスライター、都内在住2児の母。趣味は着物と和裁とお散歩。個人ブログで親子の着物ライフについて発信中(こども浴衣の作り方も公開中)。
ブログ:『着物好きが育てたら、着物好きの娘になったので…』