上野にはたくさんの美術館や博物館がありますが、穴場としておすすめなのが『黒田記念館』です。黒田記念館は、上野の東京国立博物館の分館になっています。入館料は無料なので、気軽に訪れることができます。
作品数は多くありませんが、美術の教科書には必ず載っている、あの『日本近代洋画の父』黒田清輝の作品が展示されています。

黒田記念館は、黒田清輝(大正13年没)の遺言により、昭和3年に竣工しました。貴重な昭和初期の美術館建築として、国の登録有形文化財にも指定されています。


黒田記念館は、美術好きの方だけでなく、レトロ建築好きの方にもおすすめのスポットです。美術館内部は、古い大学か研究室といった雰囲気です。
来館者もあまり多くないので、人の多い上野界隈では穴場スポットと言えそうです。

階段には赤い絨毯が敷かれています。手摺や壁の装飾などはアールヌーヴォーっぽい雰囲気でおしゃれです。


踊り場の大きな窓も素敵です。
黒田記念館には、黒田清輝の作品と習作などが展示されています。今回訪ねた際には、展示室は一つのみでしたが、新春、春、秋の年3回の各2週間には、特別展示室で黒田清輝の代表作が展示されるそうです(「読書」(1891年)、「舞妓」(1893年)、「智・感・情」(1899年)、「湖畔」(1897年)。

展示室の前には、黒田清輝先生の胸像もありました。
応接室のような資料室もいい雰囲気です。

黒田記念館のもう一つの楽しみは、建物の一角にあるコーヒーショップです。黒田記念館の建物の中から、そのまま『上島珈琲店』に行くことができます。

もちろん外からも入れますので、黒田記念館に入らなくても利用できます。
通りを挟んで向かい側は東京藝術大学です。上野恩賜公園や大きな美術館、博物館のある場所からは少し離れているので、人通りも多くありません。静かにゆっくりコーヒーを楽しみたい方におすすめです。
上島珈琲店で休憩した後、となりの『国際こども図書館』にも立ち寄ってみました!

『国際こども図書館』は、国立国会図書館の一部として、児童書などの閲覧、複製などができます(貸出は行っていません)。
国際こども図書館は、レンガ棟とアーチ棟と呼ばれる二つのエリアに分かれています。レンガ棟は明治39年に建築された『帝国図書館』が原型となっています。
平成14年に『国際こども図書館』として開館するにあたって、建築家・安藤忠雄氏により、原型をとどめながら改修・増築されました。

建物の内部は、天井が高く重厚な造りになっています。階段の手すりやドアの装飾なども見どころです。

レンガ棟1階には、円形のテーブルが特徴的な「子どものへや」があります。世界各国の絵本が展示されている「世界を知るへや」は、見事な寄木細工の本棚など見所がいっぱいです(残念ながら撮影禁止のため、画像はありません)。
レンガ棟2階には「児童書ギャラリー」があり、明治期以降の児童書を見ることができます。
アーチ棟はガラス張りの近代的な建築です。こちらは研修室や資料室になっているようです。

アクセス
黒田記念館と国際こども図書館は、JR上野駅公園口から徒歩10分ほどです。
まとめ
美術館や博物館が数多く立ち並ぶ「上野の森」にある、黒田記念館と国際こども図書館を訪ねました。上野駅前や上野公園などの喧騒から少し離れた静かな場所でした。
黒田記念館では黒田清輝の貴重な習作が見られるほか、昭和初期の美術館建築として、アールヌーヴォー風の装飾などを楽しみました。
国際こども図書館も、昔の絵本を見ることができるだけでなく、やはりレトロ建築を鑑賞して楽しむことができました。
どちらもレトロ建築好きにおすすめの穴場スポットと言えそうです。
フリーランスライター、都内在住2児の母。趣味は着物と和裁とお散歩。個人ブログで親子の着物ライフについて発信中(こども浴衣の作り方も公開中)。
ブログ:『着物好きが育てたら、着物好きの娘になったので…』