
駒込の旧古河庭園にある旧古河邸と同じく、台東区にも明治の「お雇い外国人」ジョサイア・コンドル設計の洋館があります。
不忍池からすぐ近くにあるのですが、庭園の敷地内に入らないと建物が見えないので、近くを通りかかっても、こんな洋館があると気づかない方も多いかもしれません。
不忍通りから、一本横道に入ると赤レンガの塀があります。さらに奥には東京大学(東大病院)があります。

旧岩崎邸庭園の正門を入っても、すぐには洋館が見えません。緩やかな坂道をのぼっていきます。

明治の頃はここを馬車が通っていたのでしょうか。車寄せのある洋館の正面玄関まで道が続いています。

途中で、捩花(ネジバナ)を見つけました。ラン科の素朴な花ですが、らせん状に花をつけるかわいらしさで、園芸ファンに人気です。
ネジバナは土手などによく咲いているそうなのですが、都心の街中ではあまり見かけません。庭園の芝生にもたくさん咲いていました。
旧岩崎邸の敷地が外部と隔絶されているために、ネジバナも生き延びてきたのかな…などと思いつつ、先へ進みます。

入園料は一般400円(小学生以下無料)です。今回は小学生の娘と一緒だったので、子供向けの『わくわく探検ブック』という小冊子をいただきました。
120年前の岩崎邸の様子や、邸内の装飾、ジョサイア・コンドル氏と弟子の建築家のことなど、わかりやすくまとまっていて、大人が読んでも楽しめました!

さっそく、旧岩崎邸の見学へ。岩崎邸は、三菱財閥の創業者・岩崎彌太郎の長男で、三菱財閥3代目総帥の岩崎久彌が建てたものです。
この洋館と後で紹介する撞球室(どうきゅうしつ)は、鹿鳴館なども手掛けたジョサイア・コンドルの設計です。

土日は邸内の撮影が禁止されているので、画像はありませんが、当時の洋式トイレや美しい壁紙(金唐皮紙)など、見所がいっぱいです。

洋館に併設されていた和館も少しだけ残っていて、「お茶席」として利用されています。お抹茶のほか、小岩井チーズケーキセットなどもいただけます。
岩手県雫石の『小岩井農場』は、小野義眞、岩崎彌之助(岩崎久彌のおじ)、井上勝の3人の創業者の頭文字をとって名付けられたのだそうです。小岩井農場はその後、岩崎家の所有となりました(現在は小岩井農牧株式会社が経営)。

和館の縁側から広い芝生の庭に出ました。周囲は背の高い木に囲まれています。

120年前は現在の敷地の3倍もの広さがあり、庭園は洋風にも和風にも見える造りだったそうです。

広い芝生の庭から洋館を望みます。ベランダが特徴的で、ちょっと南国風にも見えます。

洋館の隣には山小屋風の撞球室(どうきゅうしつ)があります。撞球というのはちょっと聞きなれませんが「ビリヤード」のことです。
ビリヤードが紳士の嗜みだったのでしょうか。


なんと、この撞球室は、隣の洋館と地下通路で繋がっているのだそうです。通常は撞球室の内部と地下通路には入れませんが、毎月第2木曜日には、撞球室への非公開の地下通路および撞球室もご案内する撞球室特別ガイドが開催されているようです。気になる方は公式サイトなどを確認してみて下さいね。

旧岩崎邸庭園へのアクセス
旧岩崎邸庭園は、不忍池のすぐ近くです。JRの場合は「上野」駅よりも「御徒町」駅(徒歩15分)からの方が近いです。一番近いのは、東京メトロ千代田線の「湯島」駅(徒歩3分)です。このほか、東京メトロ銀座線「上野広小路」駅、都営地下鉄大江戸線「上野御徒町」駅から各15分ほどです。
▶ 旧岩崎邸庭園|公園へ行こう!(公式HP)
まとめ
東京都台東区に残る、ジョサイア・コンドル設計の洋館・旧岩崎邸を見学しました。駒込にもジョサイア・コンドル設計の旧古河邸がありますが、二つの洋館はおもむきが異なっていました。
特別公開の時期には、地下通路など普段は公開されていないところも見られるそうなので、また訪れてみたいと思いました!
フリーランスライター、都内在住2児の母。趣味は着物と和裁とお散歩。個人ブログで親子の着物ライフについて発信中(こども浴衣の作り方も公開中)。
ブログ:『着物好きが育てたら、着物好きの娘になったので…』