東京の「五色不動尊」のひとつである「目赤不動尊」を訪ねてみました。目赤不動尊というのは通称で、「大聖山東朝院南谷寺(なんこくじ)」が正式な名称です。東京メトロ南北線の本駒込駅すぐ近く(徒歩1分)、本郷通り沿いにあります。

本駒込はお寺が数多い地域で、ちょっと歩くと道の左右に次々お寺が現れます。ふらりと立ち寄ってみると、季節の花が咲いていたり、特に由緒や宗派を知らなくても楽しめそうです。

目赤不動尊に入ると、すぐに大きなツツジの株が目に入りました。この日はお天気も良く、少し汗ばむほどのお散歩日和でした。

文京区教育委員会の説明によりますと、万行和尚という方が元和年間(1615~1624)に開いたお寺で、もともとは「赤目不動尊」と呼ばれていたそうです。江戸時代になってから3代将軍家光に現在地を賜り「目赤不動尊」に改名したのだとか。現在も地名として残っている目黒、目白のほか、目黄、目青とあわせ、五色不動尊として江戸庶民の信仰を集めたようです。
目赤不動尊の境内に「江戸五色不動」の碑がありました。

それぞれのお寺の住所まで詳しく書いてあります。
- 赤 天台宗 南谷寺 文京区本駒込一丁目二〇番ニ〇号
- 黒 天台宗 瀧泉寺 目黒区下目黒三丁目二〇番二六号
- 青 天台宗 教学院 世田谷区太子堂四丁目十五番一号
- 黄 天台宗 永久寺 台東区三ノ輪二丁目十四番五号
- 黄 天台宗 最勝寺 江戸川区平井一丁目二十五番三二号
- 白 真言宗 金乗院 豊島区高田二丁目十二番三九号
ん?なぜか目黄不動は2つあるようです。不動明王を祀っているだけあってすべて密教系のお寺ですが、天台宗がほとんどで目白だけ真言宗のお寺のようです。
目赤不動尊の様子に目を戻しますと、入ってすぐ右手の掲示板に、古地図が貼ってありました(筆で「南谷寺」と書き込んであります)。

『東京駒込辺絵図(1857年)』ということなので、江戸時代末期の様子ですが、周辺はみごとにお寺ばかりです。ちなみに両隣の定泉寺と養昌寺は現在もあります。
入口正面に本堂があります。信徒以外は立ち入れないそうですが、静かなたたずまいでした。

ちょっと戻って、右手にお地蔵様と不動堂が見えます。

お地蔵様の奥にある不動堂に近づいてみると、不動明王が描かれた額や奉納札が飾ってありました。落語家さんのような名前も見えます。不動明王様の目の色はちょっとよくわかりませんが、何かパワーを頂けそうな力強いお姿です。

目赤不動尊は『関東三十六不動の13番札所』でもあるため、パワースポットめぐりや御朱印好きの方に人気があります。
酉年の元旦と1月、5月、9月の各28日にだけ御開帳があり、貴重なご本尊の不動明王像を拝見できます。なにしろ、12年に一度ですので行列必至のようです。
最後に、お寺を出て「動坂」まで足をのばしてみました。本駒込駅前交差点から不忍通り方面に向かうと、都立駒込病院あたりから下り坂になっています。

三代将軍家光から現在地を賜って移転するまで、「赤目不動」がこの付近にあったので、「動坂(=不動坂)」と呼ばれているそうです。
本駒込駅付近は比較的静かな寺町でしたが、動坂まで来ると少し都会っぽくなりました。不忍通りを渡ってすぐに北区との区境があり、さらに直進するとJR田端駅があります。
まとめ
今回は、江戸五色不動のひとつ「目赤不動尊」を訪ねました。ほかに参拝者はなく、静かに境内を散策できました。
心地よい4月の陽気の下、知る人ぞ知るパワースポットを訪ねて、少し元気をいただけたような気がしました。
フリーランスライター、都内在住2児の母。趣味は着物と和裁とお散歩。個人ブログで親子の着物ライフについて発信中(こども浴衣の作り方も公開中)。
ブログ:『着物好きが育てたら、着物好きの娘になったので…』