
東京都北区の王子駅すぐそばには、桜の名所で有名な飛鳥山公園がありますが、今回訪ねた「音無親水公園」は、明治通りを挟んで、飛鳥山公園と向かい側にあります。
音無親水公園は、石神井川の旧流路が公園として整備されたものです。
石神井川は東京都多摩地域の小平市から、西東京市、練馬区、板橋区などを通って北区に入ります。音無橋から先は暗渠になっており、飛鳥山公園と王子駅の直下を通って、墨田川に注ぎます。

音無橋から音無親水公園へ
音無橋の近くの階段を下りて、音無親水公園に入りました。

夏には、子供が水遊びを楽しむこともできるようです。今回、水は流れていませんでしたが、「川辺」に沿って歩いてみました。

途中には、木造の橋が架かっていました。昭和33年の狩野川台風で流された「舟串橋」を再建したものだそうです。

さらに、おとなりの王子神社へ向かうことにしました。音無親水公園からは、王子神社の境内へ上がる道があります。
お隣の王子神社へ
王子神社の境内へ入るとすぐに、大きな銀杏の木がありました。

そのまま進むと、神社の横手から入ったので、左手に鳥居が見えました。右手に社殿があります。

社殿は、戦災で焼失したため、戦後再建されたものだそうです。

社殿こそ古びた感じはありませんが、源義家が甲冑を奉納したとの記録が残っているそうで、かなりの古社です。
お神輿のための宮殿もありました。平成29年に新調されたばかりという、煌びやかなお神輿をじっくり拝見できます。

その奥には、末社の「関神社」があります。全国でも珍しい「髪の毛」の神様で、床屋業界の信仰厚いのだとか。

王子神社を出て、西ヶ原一里塚に向かおうと思ったところ、途中で、赤レンガの門を見つけました。近づいてみると、「醸造試験所跡地公園」とあったので、寄り道してみることにしました。
醸造試験所跡地公園に寄り道


公園の草地の向こうに赤レンガの建物が見えます。


赤レンガの建物は通称「赤煉瓦酒造工場」で、国指定の重要文化財とのことです。明治期にドイツのビール工場を模範として建造されたそうです。普段は、団体見学のみ(要予約)ですが、秋の東京文化財ウィークに特別公開されているようです。

寄り道をして明治通りに出たため、飛鳥山公園方面へ向かい、右折して本郷通りに入りました。本郷通りには、国の史跡に指定されている「西ヶ原一里塚」があります。
本郷通りの西ヶ原一里塚へ
一里塚は、江戸時代に主要街道沿いに設けられたもので、日本橋から一里(約3.9km)ごとに塚を築き、榎の木を植えたそうです。都内で現存するものは、西ヶ原一里塚の他に、板橋区の志村一里塚の二つだけです。

榎が植えられていますが、残念ながら江戸時代のものではないそうです。一里塚も、大正期の道路改修工事で撤去されそうになりましたが、実業家の渋沢栄一らの尽力により保存されました。

まとめ
東京都北区の王子界隈を散策しました。王子駅からすぐ近くには、石神井川の旧流路を整備した「音無親水公園」があります。緑豊かで静かな公園を歩き、王子神社へ向かいました。
当初の予定にはなかったのですが、赤煉瓦の門を見つけたので、ちょっと寄り道してみました。「醸造試験所跡地公園」を抜けると、赤煉瓦の酒造工場があります。外から見るだけでもなかなか良い雰囲気でした。
最終目的地の「西ヶ原一里塚」は本郷通り沿いにあります。知らなければ通り過ぎてしまう感じですが、都内に現存するのはわずかに2か所という貴重な史跡です。
王子界隈の歴史を感じられる楽しいお散歩になりました。
フリーランスライター、都内在住2児の母。趣味は着物と和裁とお散歩。個人ブログで親子の着物ライフについて発信中(こども浴衣の作り方も公開中)。
ブログ:『着物好きが育てたら、着物好きの娘になったので…』