徳川幕府5代将軍綱吉の側用人・柳沢吉保の下屋敷だった日本庭園、「六義園」を散策しました。
六義園は、しだれ桜やツツジなどで有名です。例年、しだれ桜とツツジの季節には多くの人が訪れます。
今回訪れたのは7月中旬で、紫陽花も見頃を過ぎてしまいましたが、緑ゆたかな庭園風景を楽しむことができました。

六義園は、面積が87,809.41平方メートルあるそうですが、広大な庭園の周囲は高い赤レンガの塀で囲まれています。

この赤レンガの塀は、明治時代になってから、三菱財閥創業者・岩崎弥太郎が敷地を買い取って整備した際に設けられました。
正門から園内に入って少し行くと、有名なしだれ桜の木がありました。立派な枝ぶりです。3月末の開花時期には夜間のライトアップなども行われます。

六義園の名前の由来となった「六義」は、もともと中国詩の6種の分類「風」「雅」「頌」「賦」「比」「興」のことを表すそうです。
古今和歌集の仮名序を記した紀貫之は、これを転用して、和歌には6種の基調「そえ歌」「かぞえ歌」「なずらえ歌」「たとえ歌」「ただごと歌」「いわい歌」があるとしています。
柳沢吉保は古典や和歌に造詣が深く、中国の古典や和歌の景勝にちなんだ『八十八境』をめぐる庭園として六義園を設計しました。

小さな門をくぐって園内に進みました。池に沿って歩いていくと、中の島が見えて来ました。

中の島へは「田鶴橋」という石橋が架かっていますが、通行はできません。草生した橋の近くまで行ってみました。

庭園内で一番高い築山「藤代峠」を目指すことにしました。藤代峠は、和歌の景勝地として知られる「和歌の浦」(和歌山県海南市)の藤白峠を模しているのだそうです。
標高35mほどという「藤代峠」へは階段で上ることができます。

藤代峠から園内を見渡すことができました。5月には、藤代峠の一帯がツツジの花に覆われます。木々の向こうにはビルも見えます。

藤代峠を下り、吹上茶屋へ向かいました。

近くには、池に張り出すように大きな松の木があります。

続いて「滝見茶屋」を目指しました。振り返ると、池の向こうに吹上茶屋が小さく見えます。

滝見茶屋はまた趣が異なり、涼しげな様子です。

ここまで、ぐるりと池の周りを歩いてきました。もう少しで、入口付近に戻りそうです。写真の角度が今一つですが、八十八境の一つ「臥龍石」を池の中に見つけました。

気持ちの良い緑の小径を歩いていくと、右手には平屋の日本家屋が見えてきました。

六義園には、『心泉亭』と『宜春亭』という建物があります。心泉亭は集会施設として利用できます。宜春亭はお茶室です。
緑の中に佇む日本家屋が何とも言えないいい雰囲気です。

アクセス
六義園へは、JR山手線「駒込」駅南口、または東京メトロ南北線「駒込」駅が最寄りです。
駒込駅のすぐそばには、六義園の「染井門」がありますが、通常は閉鎖されていますので、駅から徒歩7分ほどの「正門」から入ります。
まとめ
柳沢吉保の下屋敷があった「六義園」(東京都文京区駒込)を訪ねました。
六義園といえば、春のしだれ桜、その後のツツジが有名です。今回は、7月中旬ということで、紫陽花が少し残っているばかりでしたが、緑の濃い六義園もとても魅力的でした。
暑い季節はあまり混まないので、穴場かもしれません。数に限りがありますが、和傘の貸し出しもあるそうです。
庭園には八十八境もの見どころがありますので、何度訪れても新しい発見がありそうです。
フリーランスライター、都内在住2児の母。趣味は着物と和裁とお散歩。個人ブログで親子の着物ライフについて発信中(こども浴衣の作り方も公開中)。
ブログ:『着物好きが育てたら、着物好きの娘になったので…』