住みたい街No.1に選ばれたこともある「吉祥寺」の駅から徒歩5分のところに広がる緑の空間「井の頭公園」。近隣にお住まいでなくとも、その名前は聞いたことがある、という方がほとんどでしょう。
江戸時代は徳川家を中心に鷹狩り場としても使用され、その後当時の宮内省の管轄となり、東京都に下賜されたそう。実は井の頭公園が幕府・皇室から一般に賜った「恩賜」公園だったとは、今回初めて知りました!
公園は、その多くの面積を、神田川の水源であり公園のシンボルでもある井の頭池が占めています。昔はこの池、徳川家康や家光にも愛された綺麗な水で、飲み水としても使われてきたそうですね。
ちなみに「井の頭」という名前ですが、地名と関係があるわけでなく、一説によると徳川家光が「江戸一番の井戸」という意味で「井之頭」と名付けたと言われています。
井の頭恩賜公園を散策

井の頭公園といえばこの風景。オールで漕ぐボートやスワンボートで池を楽しむことができます。普段は土日ともなれば池の上もかなりの混雑具合ですが、いつもの週末よりは密じゃないかも!?
普段は、週末なら2~3漕ぎすれば隣のボートにあたりそうなほど、池にうじゃうじゃスワンが泳いでいるような時もあります。

池の周りにはおしゃれなカフェやレストランも点在しており、家族連れやカップルの憩いの場になっています。
しかし今回は、この井の頭公園が主目的ではありません。実は、井の頭公園の敷地内にはひっそりと「動物園」があるのです。

井の頭池を有する井の頭公園の、吉祥寺通りを隔てて反対側に、動物園のほか、彫刻館や資料館も備えた「井の頭自然文化園」があります。
穴場の動物園!井の頭自然文化園

こちらが井の頭自然文化園の入り口です。こじんまりした受付に、ひっきりなしではないけれども、しかしコンスタントにお客さんがやってきます。
入園料は大人400円、中学生150円、65歳以上200円。小学生以下と都内在住・在学の中学生は無料です。なお、みどりの日(5月4日)や開園記念日(5月17日)、都民の日(10月1日)は無料公開だそうです。太っ腹!

日本原産の動物を多く飼育しており、動物園と水生物園(分園)があります。
順路に沿って歩くと最初にペンギンが。大規模な動物園に比べたらかなりコンパクトな展示ですが、距離が近いため見ていて飽きません。


実は井の頭文化園には通常「モルモットふれあいコーナー」があるのですが、この時期はコロナ禍でお休み中です。
モルモットたち、ガラス越しのお部屋でゆっくり休んでいました。園内どこもそれほど混みあっていなかったのですが、この部屋だけは密ですね!!

ヤギと黒豚のコラボレーション。ヤギは本来高いところを好むせいでしょうか、こんなに重そうなおなかを抱えながら、軽々と木の上に飛び乗っていました。

こちらはヤマアラシのご夫婦でしょうか。仲睦まじく寄り添ってお休み中です。敵が近づくとこの毛を逆立てて身を守るようですが、仲間には針のような毛のない顔の付近の皮膚を近づけあって、コミュニケーションをとっていました。




そしてこちらは…檻の中にカーブミラーを模したような鏡が置いてあります。なんだろう?とのぞき込んでみると、そこには自分の姿が写っています。
これは最近の動物園での流行りなのでしょうか。以前行った動物園でも鏡を置いて、そこに写った自分の姿を「ヒト」としてみせるカラクリの展示がありました。
「あつかい方によっては大変危険」などと、なぜか若干シュールで皮肉めいた失笑を誘うような説明書きも、こういった展示に共通のようです。

メリーゴーランドやコーヒーカップなどごくごく小さな遊園地も併設されており、ライオンやシロクマなど派手な動物がいない割にお子さんも飽きないつくりになっています。

他の動物園でなかなか体験できない試みとして、こちらの「リスの小径」は、井の頭自然文化園ならではといえるかもしれません。
ここでは、1軒の家くらいのケージ内に二ホンリスが自由に暮らす様子を、人間が中を通り抜けながら間近で観察できる展示をおこなっています。柵や塀など隔てるものがなく、直接リスたちと対峙できるので、非常に近い距離で彼らの普段の行動を観察することができます。
リスたちは思った以上にすばしっこいので、くるくる動いている間はとてもカメラの中におさめきれないのですが、涼みたいのか、水辺で背を向けて這いつくばるように伏せをしている変わり者がいたのでやっと被写体として捉えられました!
かわいいリスのイメージが一変しそうな姿勢です。これも、柵を隔てた動物展示ならなかなか出会えない光景ですね。
ちなみに、餌を食べている時や木に登っている時はかわいいのですが、地面を走っているリスって、ものすごい速さで這っているようで、なんだか滑稽で全然かわいくないな(人間の勝手な感想ですが)、というのを今回発見しました!

このヤマドリは、日本固有のキジ科の鳥だそうです。深い山の中で生活するため人目にふれることが少なく、詳しい生態もいまだわかっていないそう。
オスはその美しい容姿から狩猟鳥としても人気のようですが、近年は準絶滅危惧種に指定されるほど生息数が少なくなっているとのこと。
井の頭自然文化園ではヤマドリの飼育・繁殖をおこない、種を守る取り組みをされています。

最後に…日本固有種でもなんでもないですが、個人的に大好きなフェネックが観られたのは嬉しすぎる誤算でした!まさか吉祥寺でフェネックに遭えるとは!
フェネックはサハラ砂漠に住む「ネコ目イヌ科キツネ属」の動物。その種訳のとおり、猫のような犬のような、キツネのようなエキゾチックな容姿をしています。
かわいい…この大きな耳とキリっとした顔、スレンダーで小さな体がたまらなくかわいいですね。ほとんど寝ていましたが…。個人的に大満足の締めくくりでした。
まとめ
井の頭自然文化園は、人が行き交う賑やかな街にありながら、自然豊かな場所で身近な動物や珍しい動物に出会える、動物園の穴場のような場所といえるかもしれません。
1時間ほどで動物園を見て歩いたあとは、近隣で手軽に軽食をテイクアウトして井の頭公園内にてピクニック気分で食べる、というのも楽しそうですね。
また、近くには三鷹の森ジブリ美術館もあるので、組み合わせて1日過ごすのも楽しそうです。
井の頭公園一帯は、ひとつのエリア内で公園、ボートなどのアクティビティ、おしゃれな飲食店、動植物とのふれあい、美術館など多くの選択肢があり、大人も子どもも、心豊かな休日がすごせるスポットとしておすすめの場所でした!