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実は昔の東京「武蔵国」の中枢にあった大國魂神社【東京・府中】

武蔵国(むさしのくに)」という名前を、一度は聞いたことがある方も多いでしょう。歴史好きな方ならきっとなおさらよくご存じですね。

教科書でならった、645年の大化改新(たいかのかいしん)から平安時代中頃までにかけての日本は、律令国家で60ほどの国に分かれていましたが、そのうち今の東京都、埼玉県、神奈川県の川崎市・横浜市あたりまでを含むかなり広大な国を「武蔵国」といいました。

その中枢となる国府(こくふ)がおかれたのが実はいまの「府中」。府中という地名は、「国府の中(なか)」という意味からきているそうです。

つまり今の東京近辺一帯を当時おさめていた場所が府中であるということ。

今回訪れた「大國魂(おおくにたま)神社」は、その府中にあり、当時の「武蔵国」のすべての神様をひとつにまとめてお祀りした「総社(そうじゃ)」としての重要な役割を果たしてきました。

「大國魂神社」社号標の奥にたたずむ大鳥居

御祭神は大國魂大神(おおくにたまのおおかみ)で、神話上よくその名を聞く「大国主命(おおくにぬしのみこと)」と同じ神だと言われています。

この、大國魂大神は、「武蔵国」を開かれ、人々に衣食住を教え、医療やまじないの術も授けた「武蔵国の守り神」とされ、福神縁結び厄除け・厄払いの神として有名な神様です。

そういった位置づけにあった神社ですので、その後鎌倉幕府や北条・足利氏ら、はたまた徳川家康にまで、あつく崇敬されることになるのもうなずけます。

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日本で唯一、国の天然記念物となったケヤキ並木

馬場大門ケヤキ並木

起点から京王線府中駅を経由しこの大國魂神社へつながる「馬場大門ケヤキ並木」は、1062年、源頼義・義家父子が奥州安倍一族の乱を鎮圧した際に、ケヤキの苗千本を神社に奉納したのがはじまりだそうです。

ケヤキ並木としては日本で唯一、国の天然記念物に指定されており、駅前という立地ながら、駅からこの通りに降り立った瞬間、荘厳な雰囲気に包まれます。

それと同時に、近隣にお住まいの方にはこの通りが憩いと癒しの場になっているんだろうなと感じました。

大國魂神社の境内を歩く

境内には複数の神を祀る神社があります
大鳥居から拝殿までまっすぐ続く参道

府中駅からケヤキ並木を5分ほど歩くと冒頭にあった大國魂神社の大鳥居で、境内はかなり広々としています。

毎年8月1日には今も相撲祭がおこなわれる

大鳥居からまっすぐ参道を歩くと、左手になぜか相撲場がありました。これは、天正18年(1590年)8月1日、徳川家康の江戸入城を祝い、天下泰平・五穀豊穣をいのる奉納相撲がここで始まったものだそうです。

宮乃咩(みやのめ)神社

こちらは、天鈿女命(あめのうづめのみこと)をまつった「宮乃咩(みやのめ)神社」です。

昔々、天照大神(あまてらすおおみかみ)天の岩戸に隠れてしまったとき、歌や踊りを披露して天照大神を引っ張りだすことに成功した女の神様で、芸能の神、安産の神様として知られています。

源頼朝の妻、北条政子の安産を祈願した神社でもあるそうで、7月12日には毎年、安産特別祈願祭を行っているとのことです。

平成23年に大國魂神社御鎮座壱千九百年事業として改築された隋神門

高さ8.5m、幅25mもある立派な隋神門。扉一枚がなんと畳5畳分程の大きさという立派なつくりです。

なんでも、くらやみ祭での神輿や大太鼓の出入りをスムーズにする為に、まず間口と高さを決めてから門全体の設計をしたそうですよ。

ちなみにこの”くらやみ祭”とは、毎年5月5日に大國魂神社で行われる例大祭の俗称で、東京都無形民族文化財にも指定されています。八基の神輿が、あかりを消した闇夜の中、御旅所(おたびしょ)へ向かわれるのでそう呼ばれているそうです。

それではいよいよ拝殿へ向かいます。

拝殿の手前にある中雀門
神座がある本殿の手前にあり、人が神に祈りをささげる場所である拝殿

かつて将軍徳川家康が慶長に社殿を造営したものは大火で焼失し、現在の拝殿は明治18年、神社が官幣小社に昇格した年に改築されたものです。

「総社」としての大國魂神社では、本殿の両側に「武蔵国」内の著名な神、六所(ろくしょ)【小野大神・小河大神・氷川大神・秩父大神・金佐奈大神・杉山大神】を祀り、あわせてお参りできるようにしています。

なお、大國魂神社に来たら必ず訪れておきたい場所がもう1つあります。

産後の肥立ちがよくなるというご利益もあります

それが、拝殿・ご本殿の裏手にある“ご神木”です。

こちらのご神木は、樹齢1000年を超える大イチョウで、大國魂神社の1番のパワースポットとも言われています。近くに寄ると、そのあまりの存在感に驚くとともに、自然と神聖な気持ちになってきます。

静かに木の前にたたずむと、まさに神様が宿っていることを感じられる瞬間があるかもしれません。

まとめ

ケヤキ並木として日本で唯一、国の天然記念物となっている馬場大門のケヤキ並木、東京の元となった武蔵国の総社である大國魂神社、そして樹齢1000年超のご神木

駅から5分の立地でこれだけの規模の神社とパワースポットが存在する場所があったとは驚きでした。

都会に居ながらにして心を静めたいことがあるときは、一度訪れてみてはいかがでしょうか。

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