山手線を日常的に使われる方は、1度は降車の経験があるかもしれませんが、2020年3月の開業から1年以上たったJR山手線49年ぶりの新駅「高輪ゲートウェイ駅」に初めて降り立ってみました。
新型コロナや、2020東京オリンピック・パラリンピック延期の影響で、駅利用客が当初の想定の2割にとどまっているという高輪ゲートウェイ駅。実際訪れたのは2020年11月頃でしたが、その実態を自分の目で確かめてきました。
そもそも高輪ゲートウェイ駅とは

そもそも高輪ゲートウェイ駅はなぜ生まれたか。
元々この周辺には田町車両センター、いわゆる電車の車庫がありましたが、寝台列車などが減り、停め置く車両が少なくなったことなどに加え、東京の地価が上がってきていました。
新駅の誕生は、このまま都心のど真ん中に車両を置いておくより、再開発して不動産収入を得たほうが良いというJR東日本の経営判断によるものだったといえます。


当初多くの方が感じたのではないかと思われる「高輪ゲートウェイ駅…なぜこの名前に?」については、そのひとつの背景が「国際交流拠点の玄関口にしたい」というJR東日本の発表から読み取れます。
もちろん公募の結果でもあるのでしょうが、「品川に近い」のが主な理由ではないでしょうか。品川は、2027年に開業するリニア中央新幹線の起点となり、羽田空港からのアクセスもよい場所です。JR東日本は、その計画の中で高輪含む田町から品川のエリアを「グローバルゲートウェイ品川」と呼んでおり、そこからは世界に向けた文化の発信地にしたいという街づくりのコンセプトが見えてきます。
国際交流拠点の「玄関口」、だから高輪「ゲートウェイ」駅なんですね。

国際交流の拠点を意識してでしょうか、この駅舎の屋根は和の「折り紙」「障子」をイメージして造られているようです。陽光を取り込む設計になっているので、省電力にもつながりますし、エコなつくりですね。
吹き抜けの効果もあって、駅全体が明るく、開放的な印象です。

開放感を演出してくれているのは、この全面ガラス窓でもあると感じます。これまでの駅構内では考えられないほど明るく、駅構内にいながらにして街の様子が一目でわかる、街と一体化したようなつくりになっています。
前の駅建設から50年たつと駅の構造や建築の考え方って、こんなにも進化するんですね。少し感動すらおぼえます。

写真にすると少し画面が暗くて見づらいですが、鉄道に関する映像が流れるメディアです。かつて車両基地だったこの場所は、明治 5 年に日本で初めて鉄道が開通したという歴史があり、関連する過去や未来を表現した映像が常に流れています。
鉄道好きでない方にも、しばらくの間楽しめる場所になっています。また、高輪ゲートウェイ駅では、最新技術を使ったAIロボットやサービスなどが導入されており、そのひとつがこの無人AI決済コンビニ「TOUCH TO GO」です。

ニュースなどでその存在を知ってはいましたが、実際に入ってみたのは初めて。誰もいないはずなのにAIに見られていると思うとなんとなく緊張感があります。
結局勇気が出なくて(買う目的もなかったので)モノを購入はしなかったのですが、1周まわって出てくるだけではお金は請求されず、それは当然のことなのになぜかほっとする結果に。AIカメラの監視の確からしさを一部証明できました。

駅構内にこんなものもありました。タッチパネルにタッチせずに周辺観光情報や乗り換え案内などが受けられるデジタルインフォメーション!ボタンを押さず指し示すだけで次の画面に切り替わったり、マイクに向けて話しかけると問いかけに答えてくれたりします。
試しに一番近いおすすめ飲食店を探してみましたが、2020年11月時点ではまだ駅周辺で工事段階の箇所も多く、「徒歩18分のお寿司屋さん」が出てきました…。徒歩18分歩けばもうそこは品川駅周辺です…。

このように駅周辺はまだ工事中の段階でしたが、恐らく今はまた開発が進み進化しているのではないでしょうか。JR東日本では2024年頃をめどに「街びらき」を目指していたようで、商業施設、ホテル、飲食店、オフィスなども出来ていきます。
まとめ
商業施設の再開発で周辺も賑やかになるとよいですが、2020年7月には日本最古の鉄道遺跡「高輪築堤」が800mにわたり発見されたというニュースもありましたので、当初の開発計画からは大きく変更せざるをえない部分もあり、高輪ゲートウェイ駅、なかなか困難な局面に立たされているようです。
いずれにしても、JR山手線の駅でこんなにも人が映り込まない駅は他になかなかないと思うので、高輪ゲートウェイ駅の美しい写真をおさめたい方は今のうちかもしれません。