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倉庫街がアートの街に!まるで無料の現代アート展!?【東京・天王洲アイル】

「品川」「天王洲アイル」といえば、どういったイメージを抱かれるでしょうか。

そもそも、品川は知っていても、お住まいの場所によっては、天王洲アイルの名前や具体的な位置さえ知らない、という方もいらっしゃるかもしれません。

東京モノレールやりんかい線「天王洲アイル駅」を有する品川区の臨海部。再開発のため埋め立てられた土地で、港に近い、オフィス街、倉庫街。無機質なビルが多く、平日はともかく、週末はガランとしている。少なくとも私は天王洲アイルに対してそんなイメージを持っていました。

しかしここ数年で、この街はいつの間にか変貌を遂げていたようです

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突如あらわれる壁画アートから始まる散策スポット

ポップな壁画アートにいざなわれ運河までの道のりを歩く

天王洲アイル駅から5分ほど歩くと、オフィス街の中に突如あらわれる壁画アート。Welcome to TENNOZ CANAL EAST」の周辺紹介マップとともに、「ボンドストリート」という通りの名称が記されています。ちなみに、「CANAL(カナル)」とは、英語で「運河」の意。

ここに来るまで何か案内があるわけでもなく、突如として異次元の空間に迷い込んだ気分です。

鈴木春信の浮世絵を題材にした海外アーティストによる作品

なんとなく右手の視界に色彩を感じ、ふとみあげると、ビルの壁全体を使った超特大の壁画が!

こちらは、2019年に開催された日本最大級の壁画プロジェクト「TENNOZ ART FESTIVAL 2019」で公開された海外からのアーティストの作品。

ブルワリーや、インテリアショールームが入った倉庫

こういった倉庫を改装し、カフェやレストランとして利用するほか、現代アートなどの美術品保管をおこなっているのが、このエリアで倉庫事業を営んできた「寺田倉庫」という企業だそうです。

いわば、何百年、何千年先の未来にいまのアート作品を残す「現代版 正倉院」のような役割を果たそうとしている、と言えるかもしれません。

バレットパーキング受付

なんだか可愛いこの風体。この、オモチャの乗り物のような物体は、バレットパーキングの受付でした。周辺には平面の駐車場が少ないので、この場まで乗り入れられた車は、ここで停めて鍵を駐車場の方に預け、近くの立体駐車場まで運んでもらうようです。

ホテルサービスのようで、ちょっとゴージャスな気分になれますね。

運河にかかる「ふれあい橋」

運河にかかる橋。そういえば東京に来てからこういった車が通らない歩行者専用の橋を、のんびり散歩気分で渡るのは久しぶりかもしれません。

このあたり一帯は、運河沿いの歩道が整備されていて、「都会的なんだけれど、東京とは思えない雰囲気の」散策が楽しめました。

橋から運河をのぞむ

下の画像は、散策の途中にあったアート作品らしきもの。ぱっと見、中央が抜けた少しいびつな円のように見えますが…

散策中に次々と遭遇するアート作品

なんと横から見ると見え方が変わりました。これは、音符でしょうか?案内文などがあるわけではないので、解釈は見る者に委ねられています

ゆがんだ音符!?

下の写真では、駐車場横の壁にさえ、こんな壁画アートが散りばめられているのがわかります。どこにどんな作品がある、と案内図があるわけでもないので、思わぬところで作品に出会えるこのサプライズ感が、宝探しのようでだんだん楽しくなってきます。

名もなき壁画アート
建築倉庫ミュージアム

こちらは、「建築倉庫ミュージアム」の入り口近くの壁画です。天王洲アイルを「アートの街」に変貌させた仕掛人である寺田倉庫が、そうしたアート事業の一環として、主に日本の建築家による建築模型をアート作品として展示した国内唯一の博物館だそうです。残念ながら本日は臨時休業!

PIGMENT TOKYO外観

この、やたらにおしゃれな建物はなんだろう…近づいてみると、色々な大きさ・形のハケが店内に飾られているのがわかります。

こちらは、画材ラボ「PIGMENT TOKYO」ずらりと並ぶ4500色もの顔料がまさに圧巻です!

海外では入手困難な、日本ならではの素材を使った顔料などもあり、新型コロナ流行の今でこそ外国の方の姿はあまりみられませんが、新型コロナ感染拡大前は連日、世界各国からお客様が訪れられていたそうです。

店舗内装および外装は、建築家の隈研吾氏によるもの

羽田空港から20分の立地にあるエリアですから、大きなスーツケースを転がして何より先にこちらまで直行される海外のアーティストの方も少なくなかったとか。

案内板の設置方法にもセンスが光ります

こちら写真では少しわかりづらいでしょうか、赤いマニュキュアをした女性の左手がつかんでいる様相の案内板です。アートを意識した、心憎い演出ですね。

「犬も歩けば棒に当たる」とはよく言いますが、ここ天王洲アイルには「素人(私のことです)も歩けばアート作品に出くわす」という言葉を進呈したいと思います。

ポーランド出身のアーティストによる古代文字を題材にした壁画

興味がなければそのまま通り過ぎることもできますが、プラプラと散策する中突然こういった意味のわからないものに遭遇すると、不思議なもので、人は「これがなんなのか」調べようとします。

少なくとも普段友人の付き合いで美術館に行ってさーっと作品群を通り過ぎる時よりは、作品についてより多くのことを知ろうとした気がします。

一見ゴミ箱のような陶器の作品「Work2012」三島喜美代作

ホテルの前に設置してあることもあり、遠目からみると「え?こんな目立つところに業務用のゴミ箱?」と目を疑ったこちらの物体。近づくごとに、これがぐちゃぐちゃにされた缶ビールの段ボールやタバコのパッケージを模した巨大な陶器の作品であることに気づかされます。

こちらの作品には解説があって、「消費される紙とメディアのイメージを具体化し、それらが巨大なゴミ箱の中に存在することによって、現代社会にあふれる情報やコマーシャリズムをユーモラスに表現している」とありました。

従来の陶芸にはない革新的な表現を追求したとして、この作品を制作した三島喜美代さんは海外でも高く評価されているそうです。

テラス付きのカフェ

一帯にはこういったおしゃれなカフェやレストランが点在しています。そんな中で…

作品名「猫も杓子も」ダミアン・プーラン作

先程のおしゃれ感を一切無視したいさぎよいほどの堂々たるたたずまいに思わず笑ってしまったこちらの作品は、「猫も杓子も」。

誰もがスマホというカメラを一人一台持ち歩いているこの時代に、本来、人間の被写体であるはずの「猫」が、反対に人を撮影するというユーモアと皮肉が込められているそうです。

そしてそれをまた撮影する人。…複雑な構図になってきましたが、作者はそれも想定してこちらの作品を作られたのでしょうね。

色気より食い気?運河沿いのブルワリーレストランでランチ

アメリカンレストラン「T.Y.HARBOR」

さて、個人的にはアート半分、食い意地半分なのが正直なところ。というわけで、本日は運河沿いのレストランでお食事もして参りました!

倉庫を改築し、醸造所も併設したブルワリーレストラン「T.Y.HARBOR」は、テラス席も広く、運河をのぞみながら美味しさにも定評のあるお料理に舌つづみをうてる最高の空間です!

今回いただいた「味噌でマリネしたポークロインのグリル」は、分厚いジューシーな豚肉にいわゆる「テリヤキ」を進化させたような甘じょっぱい味つけで、きっと日本人なら誰でも好きなのでは!?と思えるお味です。思わず友人とうなるほどの美味しさでした。

パスタランチや、スープランチ、名物バーガーランチも!

まとめ

天王洲アイルは、運河沿いの散策道にまるで現代アート展のように作品が点在する、アートの街へと変貌を遂げていました。

殺風景だった倉庫街を、見た目だけではなく、「国内外アーティストの活躍の場やアートを求めて人々が集まる場所」という点で新たな文化の拠点をつくりだした好例を、目の当たりにしたように思いました。

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