東京都にお住まいの皆さま。もちろん、そうではない皆さまも、温泉旅館って、東京都や都市から遠く離れた観光地にしかないものと思っていませんか?
「あぁ、最近はスーパー銭湯とか、デイスパとか、日帰り温浴施設も充実しているもんねぇ」
いいえ、そうではないんです。
東京都内では珍しい、まごうことなき「温泉旅館」が、2020年9月、世田谷区に開業したのをご存知でしょうか。
東京都内に突如出現した温泉旅館「由縁別邸-ゆえんべってい-」

温泉旅館「由縁別邸-ゆえんべってい-代田-だいた-」は、35の客室と大浴場、日本料理店、茶寮を備えた、本格的な温泉旅館。
都内にお住まいだと「都内で泊まるのも…」という方もいらっしゃると思うのですが、ご安心を。そんな方のために「日帰りプラン」(公式サイト)があり、わたくし本日はこちらで、日帰りプランを利用した温泉での湯浴みと、茶寮での甘味を一足お先に楽しんできました!
ご覧ください、門構えからして、温泉旅館然としていますね。駅から1分の距離なのに、一気に旅行先にワープしてきたような気分にさせてくれます。

のれんをくぐるとそこは和の別世界。近代的なスーパー銭湯もいいものですが、モダンでありながらも純和風を感じさせる造りに理屈抜きの安心感をおぼえるのは、やはり日本人だからでしょうか。
小田急線・京王井の頭線の下北沢駅から徒歩8分、世田谷代田駅からだとなんと徒歩1分という、およそ温泉旅館のイメージからは想像もつかないアクセスのよさで、都心から10分ほどで「しっぽり」できる癒しの空間に到着です。

シックで落ち着いた雰囲気のロビーに、モダンで大胆な生け花とにこやかなフロントスタッフの方のお出迎え。ロビーって大事ですよね。入った瞬間に心を掴まれ、このあとの展開が楽しみになる玄関先です。

この日は平日でしたが、11:00前後にはチェックアウトのお客様で若干混みあうものの、その時間をはずせば本当にゆったりとした時間が流れる贅沢な空間でした。
こだわりが詰まった茶寮でお茶と甘味をいただく
フロントで日帰りプランの受付をし、ロビー隣の「茶寮月かげ」へ。甘味と飲み物は、以下の中から選べます。
聞くに、世田谷代田という場所は、かつては茶畑の広がる土地だったそうで、その由縁を活かしてかお茶にはかなりこだわられているようでした。

せっかくなので、連れは「茶師十段の煎茶」、私は「茶師十段責任焙煎のほうじ茶」をいただいてみます。「茶師」とは、あまたある茶農家から持ち込まれるお茶を見極め、選別し、ブレンドし最大限に旨みを引き出し店頭にならぶ商品にする、いわばお茶のプロフェッショナル。
その最高位である「茶師十段」は、日本にほんの15人ほどしかいない、プロ中のプロだそうです。そんな茶師十段の方が近くの下北沢にお住まいだそうで、こちらではその方の監修によるお茶をいただけるんです。なんと、これははからずも貴重な機会!!

茶師十段のお話をくわしく聞いたのは飲んだあとだったので、それほど予備情報なく飲んだのですが、香り、味わいともに、普段飲みつけているほうじ茶より明らかに美味しいと感じ、深みがあるのにまろみもあって、余韻にひたりながら勧められるまま三煎目まで頂いてしまいました。
同じお茶でも、ふだん家で何気なく飲んでいるお茶と、同じ「ほうじ茶」という種類なのにこうも味わいに違いが出るとは、本当に驚きでした。
ちなみに、急須のフタをあけたままなのは、「茶葉が蒸れすぎないように」わざとあけてくださっています。これまでお茶って蒸らした方がいいのかと思っていたんですが、何煎か続けて飲むならこうした方が味がぼやけずいいんですね。

一緒にいただいた抹茶わらび餅は、ぷるぷるつるんとのど越しもよく、写真からはわかりませんが中に濃厚なこしあんがひそんでいて、そのまま食べても、添えられている黒蜜をかけても美味しくいただけます。
なんと、こちらの温泉旅館の料理長は、ハイアット系列のホテルにいらした方だとか。甘味ひとつとってもこれだけのものが出てくるわけですね。
お茶にも甘味にもかなりのこだわりが感じられ、たとえ温泉がなくともこの茶寮だけでも利用しに訪れたい気持ちになります。

ちなみに、私が予約したのは9:00~13:00の時間帯に入浴でき、茶寮予約は10:00というプラン。お茶の後に入浴のパターンですね。入浴後、11:00や12:00台に茶寮利用できるプランもあります。
素敵な箱庭を横目にしながら、大浴場へ向かいます。

さすがに大浴場内は撮影できないので、誰もいない瞬間を狙って洗面台や化粧コーナーのみパチリ。ゆったりとしたスペースで、個別の仕切りもあり、リラックスして過ごせます。
日帰りプランは、時間帯により予約に制限を設けてあり、私が入浴している間ご一緒したのはほんの1~2名で、大浴場や露天風呂を貸し切り状態で楽しめるような時間帯もあります。
露天風呂は、箱根・芦ノ湖温泉の源泉から運ぶ正真正銘の温泉。まさに都会の喧騒を離れての温泉旅行そのものがここにあります。
お庭の緑をながめながら、ヒバの香りと温泉の湯気につつまれての湯浴みは贅沢の極みで、まさに極楽です!41度とちょうどよい熱さのなめらかなお湯に体をまかせて、ぼーっとできる至福の時間でした。

お風呂からあがったほてった体になにより嬉しいアイスクリーム。なんと「ご自由にお取りください」とあります!これは嬉しいサービス!
ちなみに由縁別邸では、日帰り温泉のみを単体で利用できるプランはなく、午前中なら温泉+茶寮でのお茶と甘味で2700円(税別)、午後16:00以降は温泉+ビールとおつまみのセットで3200円(税別)となるのですが、だからこそ、温泉利用の方が押し寄せて混雑するということもなく、この静寂とくつろぎの空間が保たれるわけなので、ありがたい限りです。
むしろ、茶寮でのお茶のこだわりや甘味の美味しさを体験してしまうと、温泉もついてこの価格でいいんですか?と思えるほどのコストパフォーマンスだと感じました。
まとめ
都心からほんの10分のアクセスで、都会の喧騒からはなれて心からくつろげる「温泉旅館 由縁別邸 代田」。日常でほっと一息つきたい時、身も心もほどけていくような時間をすごしたい時、遠くに出かけなくともおすすめの場所がここにありました。
次のお休みにどこへ行こうか迷ったら、「都内で温泉とこだわりの甘味を楽しむ」という選択肢も思い出してみてくださいね。